日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い一般質問を行います。

はじめに新市民会館整備計画について伺います。

まず、立地とまちづくりについて、3点伺います。 1つは交通渋滞問題についてです。これまで再三指摘してきましたが、私は、あの場所では、まちなかの深刻な交通渋滞を引きおこすことは、火をみるより明らかであり、イベントの度に道路が広範囲にマヒすれば、市民の足は遠のき、益々まちなかの衰退につながると考えます。 6月議会の代表質問で交通渋滞について質問した際、市長は「公安委員会と協議し問題はないと確認している」と答弁しましたが、先月8日に行われた県議会の決算特別委員会で、江尻かな県議が、「新市民会館整備にともなう交通渋滞問題について公安委員会は水戸市とどんな協議をしたのか」と、確認したところ、茨城県警の担当課長は「協議はしていない」と、答えました。例えば民間の大型商業施設の場合には、詳細な調査と協議を行い、交通渋滞等の深刻な事態を招かないように指導をするが、公共施設の場合は、公共団体である市が、まちの環境を壊すようなものをつくるはずがない、という性善説で、法は成り立っており、 新市民会館整備の影響については、そもそも協議、指導する立場にない、と。交通渋滞を回避するのは水戸市の責任において行うこと。という趣旨の答弁でした。 これでは、水戸市は公安委員会の名を利用して、県警が交通渋滞問題は大丈夫だとお墨付きを与えたかのように、議会や市民を欺く答弁をしていたのではないかと、受け取らざるをえませんが、いかがですか。あまりに不誠実であり、重大な問題と考えますが、ご説明ください。 いずれにせよ、渋滞問題は最大のネックであり、小手先の対策で回避できるとは思えません。そもそもの立地から見直しをすべきです。

 2つ目は芸術館東側駐車場についてです。まず景観について、駐車場ビルが芸術館の片側をすっぽりと隠してしまうことになりますが、世界的建築家である磯崎新氏のデザインが、単なる駐車場の壁で見えなくなるのでは、建物の価値が損なわれると考えますが、このことについて、芸術館を設計した磯崎氏は了解しているのでしょうか、お答え願います。 また、高層駐車場の致命的な問題として、利用者の流れについて指摘します。利用者は、エレベーターを利用して出入りをすることになりますが、ホール施設の利用であれば、みな同じ時間に出入りするわけです。290台に2人ずつ乗って来たとしても580人、3人乗ってくれば870人、という単位の人が、開演時間をめざして一斉にやってきて、終演後に、また一斉に帰るのです。この駐車場のエレベーターの乗り降りに、どれだけの時間がかかるのか、どれほどの混雑となるのか、シミュレーションはしているのでしょうか、お答えください。 例えば、京成百貨店の駐車場から店に入るのに、2基のエレベーターがありますが、かなりの待ち時間でイライラした経験は皆さんあると思います。百貨店ですから、お客が一斉に押し寄せるわけではありません。それぞれ自由な時間にやってきて三々五々に帰っていく、そうした動向でも相当な待ち時間がある。つまり、これは、開演時間の相当前から来なければ間に合わない、終わってもいつまでたっても帰れない、とても使いたくない駐車場となることは必至です。 しかも、この駐車場ができたからといって、新市民会館の駐車場不足はなんら解決せず、車の渋滞だけでなく、人の動線も滞らせ、さらにまちの景観の価値も下がってしまう、その上、予定地にはまだ、動きたくないと言っておられる地権者もいます。まさに百害あって一利なしの計画であり、芸術館東側駐車場建設については中止をもとめます。  

 もう1つは泉町の活性化についてです。深刻な交通問題だけではなく、ホール施設では周辺に賑わいはつくれないことも再三指摘しております。同じ時間に一斉に入り2時間なり3時間座って過ごして、一斉に出ていく。その中で目的が完結する特殊な施設です。観客はせいぜい待ち合わせにお茶をする程度のことはあっても、よほどの体力と時間がありあまっているようなひとでなければ、開演前や終演後に買い物やら街歩きなどはしません。 本当に、泉町をひとが行き交いにぎわう街に再生するのなら、ホール施設ではなく、不特定な時間に不特定な人が行き来する施設、博物館や図書館、公園といった空間にすべきです。以前にも提案しましたが、例えば、オセロミュージアムパークです。世界で1つの博物館と、50号から芸術館が見えるような緑の遊歩道か公園を、オセロの盤面のようにデザインして芸術館への動線をつくれば、人は歩き、芸術館も引き立ち、またオセロ発祥の地ならではの観光集客効果も期待できるでしょう。オセロは世界的に人気のあるゲームで、熱烈な愛好者も多い、それこそインバウンドにも役立ちます。 問題山積の上、法律無視の再開発を強行しようとしても無理がありすぎます。何年もこのままずるずると泉町を空洞化させておくよりも、ただちに再開発事業を中止し、効果のある活性化策を検討し早急に実施するべきだと考えますが、いかがですか。

(文化ホールの必要性と価値について)
 次に、実施設計が示されたので、ホールについても質問します。 2000席の大ホールについては、基本設計の段階から指摘している通り、この立地でこの設計では、何台ものツアートラックで来るような人気アーティストは来ないし、再三指摘していますが吹奏楽などのコンクールもできない。文化ホールとしては価値のない無用の長物となります。現計画でできるとすれば、演説会や講演会、式典などでしょうけれど、例えば日本共産党の演説会でも、2000人集める時には、聴衆は、各地から、大型バス何台もでやってきます。まちのど真ん中でこうした車両や人を、混乱なくさばけるはずもなく、無用の長物どころか、まちを壊す迷惑施設となってしまうと考えます。 さらに、実施設計を見る限り、486席の中ホールもなんのためのホールなのかわからない。袖や、舞台と客席のバランスなど、なんとも中途半端で使いようのない舞台です。道具も出演者も少ない漫才や寄席などはできるでしょうが、演劇などのプロフェッショナルな多彩な公演は呼べないと考えます。 文化ホールというのは、使う立場のアーティストや幅広い市民の声をきき、多彩に活用され、演者にも観客にも愛される、質のよいホールをつくらなければ、意味も価値もありません。今、水戸市で必要とされているのは、元の市民会館のような1000席規模の文化ホールであり、震災後もう7年以上も市民会館がないために、ひたちなかや小美玉のホールを借りている多くの市民が、使えるホールを待ち望んでいるのです。現計画では、巨額の税金をつぎ込んでつくる必要性がまったくないと考えますが、いかがですか。 予定地の再開発事業も滞っている中、負の遺産になることが目に見えている計画を、田中議員が代表質問でのべたように、このまま法も道理も無視して強引にすすめれば、水戸市にとって深い傷となり、将来にわたって禍根を残します。これ以上の傷をひろげる前に、冷静に一度立ち止まり、本当に水戸市に必要で市民に愛され、整備したことを未来に誇れる市民会館に、計画を根本から見直すことをもとめます。

答弁:市民協働部長

 公安委員会との協議に関してですが,9月定例会におきまして,中庭議員の代表質問に対し,市長から答弁を申し上げましたとおり,水戸市は,新市民会館へ来場する車両の経路や増加交通量を想定するとともに,交差点に対する負荷の検証を行い,適正であることを確認し,その後,交差点等道路計画について,平成27年6月12日付けで茨城県公安委員会へ協議を行い,同年6月23日付けで,協議内容に了解する旨の回答を得ております。その際,公安委員会から,将来的に渋滞等の影響が出る場合には,交通誘導等のソフト面の強化など,対策を講じるよう意見をいただいているところであります。また,平成29年5月19日付けで,道路法に基づく同様の協議を茨城県公安委員会と行っており,同年8月24日付けで,協議内容に了解する旨の回答を得ているところです。交通麻痺に関しましては,専門コンサルタントの検証において,交通量の増加に伴う各交差点への負荷は,健全な範囲内であることを確認しておりますので,公安委員会からの意見を踏まえ,将来的に渋滞等の影響が出る場合には,交通誘導等を始めソフト面の対策を検討してまいります。次に,水戸芸術館の東面への駐車場建設についてお答えいたします。水戸芸術館がこれまで育んできた,芸術文化の拠点としての重要性をさらに高めるため,新市民会館の建設を始めとする,道路整備や駐車場整備など,周辺環境が変化をしていくことについては,水戸芸術館の設計者である磯崎新氏は,時代の流れに沿って,施設や周辺環境などが変化していくことについて,肯定的な考えであると水戸芸術館から伺っております。また,駐車場エレベーターに関しましては,利便性の確保を図るため2基を計画しております。
 今後,一時的に,人が集中する新市民会館の特性を踏まえ,健常者については,縦の歩行者動線を補完する階段を案内するなど,運用について十分に検討してまいります。新市民会館の整備につきましては,特別委員会のご審議をいただきながら平成27年3月に策定した「水戸市新たな市民会館整備基本計画」において,水戸芸術館の拠点性をさらに高め,芸術文化の薫る新たなシンボル空間の形成の視点から,泉町1丁目北地区において整備を進めることとしております。中心市街地の活性化はもとより,市民が楽しく芸術文化を育み,主体的な市民活動を促進する拠点として,進める必要があるプロジェクトであると考えており,引き続き全力で事業を推進してまいります。

 次に,土田議員の新市民会館整備計画についての一般質問のうち,文化ホールの価値と必要性について,お答えいたします。
 新市民会館につきましては,講演会,式典のほか,市民の芸術文化や創作活動の発表会をはじめ,クラシック音楽,ポピュラー音楽,演劇,ミュージカル等幅広い演目や,吹奏楽や合唱コンクール,各種イベントや会議等,さまざまな事業を開催できる施設としております。
また,興行主催者等との意見交換会により,「水戸市に,2,000席規模のホールができた場合には,コンサートツアーの会場として期待できる。」との見解も伺っております。
 このことから,市議会特別委員会でも十分な御審議をいただきながら,2,000席の大ホールや482席の中ホールなどを整備することとしております。
大ホールにつきましては,バルコニーの先端をカーテンで閉じて『1階席のみ利用』とすることにより,1,000席規模の質の高い公演が開催できるなど,催し物の規模に合わせて,柔軟に対応することが可能となっております。
 中ホールにつきましては,小規模なコンサート,芸能発表会,演劇など,日常的に使いやすい規模となっており,前方の座席を取り外して舞台を拡張できるなど,さまざまな用途に対応可能なホールとなっております。
 また,ホールの設備につきましては,音楽コンクールや演劇等のほか,さまざまな演目にも対応することのできる高い性能を備えた音響,照明等となっております。
 本市といたしましては,全国の多くの方々に,また来たい,また開催したいと思っていただくとともに,多くの市民に愛され,活用され,市民が誇りに思えるような新市民会館の早期整備に全力で取り組み,将来にわたってにぎわいのある,楽しめるまちをつくってまいりたいと考えております。