次に、東海第二原発についてです広域避難計画については、実効性のある計画の策定は不可能だと主張してきましたが、今回、1点だけ伺います。水戸市は県庁所在地であり、県庁自体も避難しなくてはならないわけですが、様に市役所も避難しなければなりません。どこに行くのでしょうか。そして、そこで、県内外に避難する市民の状況を把握し対応する危機管理室等の市役所機能が維持できるのでしょうか。その際には、市の職員もみな被災者でもあるわけです。市が責任を持って、5県にまたがり、おそらく千か所は超える避難所に散らばる27万市民に対し安全な避難対応をするなど不可能ではありませんか。このように非現実的な広域避難計画の策定に、多大な時間と労力を費やすより、市民の安全を確保するためには、原電に廃炉を求める方が現実的であり、水戸市の責務と考えますが、ご見解を伺います。

原電と新たに結んだ、いわゆる安全協定については、東海第二原発の再稼働に対し実質的な事前了解権を得たといわれていますが、6市村の意向が尊重されるのであれば、画期的な前進だと思います。ただ、協定に法的拘束力はなく、また事前了解権が担保されたと読める文言もないため、原電が再稼働を強行しようとした場合に、いくらでも解釈の抜け道があるのではないかと心配されます。水戸市は再稼働阻止できる権限を持ったと言えるのでしょうか、市長のご見解を伺います。

言うまでもなく、東海第二原発で万が一の事故が起きれば、水戸市は市民の暮らし、財産をまもることは出来ません。まもなく運転開始から40年の寿命を迎える老朽原発、過酷事故の危険性が高いことは、東日本大震災を経験した市民なら誰もが考えることです。協定により、1自治体でも同意しなければ、再稼働できないというのであれば、水戸市としては、まずキッパリと再稼働を認めないという態度の表明をすべきですが、いかがですか。

答弁:【市長】

次に,東海第二発電所に係る原子力行政のうち広域避難計画についてお答えをいたします。

広域避難につきましては,平成28年8月に,茨城県内の避難先として,つくば市などの9自治体と協定を締結しており,今年,2月には,群馬県内の8自治体と,また,先月21日には,栃木県内の6自治体と,初動時における避難所への誘導,避難所の開設・運営等に御協力いただくことなど,広域避難に関する基本的な事項について合意が得られ,協定を締結いたしました。これまでの取組で,約18万3千人の避難先を確保したところでございます。

埼玉県,千葉県についても,受け入れていただく人数など,大枠の部分では合意が得られ,現在,協定書の内容の精査をはじめ,避難者の誘導方法など,きめ細かなルール等を確認している段階であり,今年度,早い時期の協定締結を目指してまいります。

水戸市民の受け入れ先が確保されたのち,平成28年7月に策定した「水戸市広域避難計画 骨子」に避難先などの項目を加え,骨子から計画へと改定する予定でございます。

また,広域避難時の市役所機能の移転につきましては,避難者の受入自治体との協議の中で,あわせて検討しているところであります。

市役所機能の核となる拠点を県内に設置するとともに,県外の避難者との連携を図るため,各県に避難支援や相談窓口の取りまとめ拠点を設置してまいりたいと考えており,施設のスペースや防災機能等を踏まえ選定しているところであります。

次に,安全協定につきましては,福島第一原子力発電所事故の教訓から,東海第二発電所の安全対策は,立地自治体だけではなく,発電所から一定の距離に位置する自治体を「所在地域」と捉え,本市をはじめとする周辺6市村が一体となり,5回にわたる日本原電への申入れなどを行い,安全協定の見直しの実現を目指してまいりました。

今年3月29日には,日本原電と安全協定の見直しに関する合意が得られ,新たな協定を締結したところでございます。

新たな協定では,「日本原電が再稼働の判断をした際に,6市村に事前に説明し合意形成を図ること」が明確に規定され,求めてきた再稼働に関する事前了解の権限を得たものであります。事前協議につきましては,全ての首長(しゅちょう)が納得するまで,その協議を継続し,協議が終わるまでは再稼働をしないことも確認しております。また,「日本原電に対して,追加の安全対策を要求することができること」などの権限が得られたところでございます。

また,権限を得た分,責任の重さも実感しているところであり,より一層,原子力安全対策の強化に取り組む決意であります。

再稼働の議論につきましては,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,有り得ないものであります。

その上で,私は,市民の安全で安心な暮らしを守っていく使命がありますので,議会の御意見を踏まえるとともに,「水戸市原子力防災対策会議」における技術的・専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,判断をしてまいります。