次に、原子力行政について伺います。

まず、実効性ある広域避難計画の策定は不可能だと考ますが、いかがですか。

水戸市は、県外に約17万人、県内に約10万人が避難をするとされていますが、おそらく最も多くの避難者、県の計画では4万人を受け入れるとされている、つくば市の五十嵐市長が、先日、東京新聞のインタビューに「再稼働で事故を起こしたら、市民を守れないし、避難してくる人への対応もしきれない。市長としてそういうリスクを取ることはできない。(水戸市との協定について)今の段階では責任持って受け入れることは難しい。(東京新聞11月25日付)」と答えたと報道されました。つくば市危機管理課のコメントも「約80箇所で1万2千人収容可能だが、食糧の手配や避難所運営の困難さから、常総水害の際に受け入れた1200人以上は難しい。」ということでした。

そこで、先週、つくば市の危機管理課で詳しく話を聞いてきました。福島原発事故の際に約500人、常総の水害の際には約1200人の避難を受け入れた経験から、具体的に様々なことを伺ってきました。そのどれをとっても、数万人単位の水戸市からの避難対応に当てはめて考えれば、現実問題としてはあり得ない、あまりにナンセンスな話なのですが、そのうちのいくつかをご紹介します。

例えば、避難所の対応は、まず、つくば市の職員にお願いすることになるわけですが、受け入れの経験から1か所に3交代で最低でも3人の職員が必要だということです。約80箇所なら720人です、つくば市の職員は約1000名だそうです。その時、つくば市の行政機能はいったいどうなってしまうのでしょう。

つくば市は被災していないという前提の避難計画ですから、つくば市では平常通り、学校もあれば役所の仕事もあります。学校などは、ほんの数日しか提供できません。常総水害の際は、いくつかの大きな避難所に収まる人数だったからケアできたのだそうです。県立の学校、小中学校の体育館などは、1日~3日で閉所となりました。さらにいえば、つくば市も被災していた場合、水戸市民はどうなるのでしょう。

また、水戸から避難してくる市民は自家用車が基本です。その数千台からの車を避難所にどうやってくのか、置けるのか。簡単に想像できると思います。

もちろん、つくば市では出来る限りの支援、協力はする覚悟だとおっしゃっていましたが、机上の避難計画では、実際には不可能なことばかりです。現実的には1200人が限界だったという経験値は大きいと考えます。

県内9つの自治体に10万人の避難計画で、つくば市が1200人しか受け入れ出来ないとすれば、他の8自治体、つくば市よりも規模の小さな自治体で9万9000人を受け入れなければ成り立たない計画なのです。

県内避難の10万人でもこれほど非現実的なのですから、県外17万人の避難となれば、なにをかいわんやです。実効性のありえない広域避難計画をつくることより、東海第二原発の廃炉をもとめることこそ、現実的に市民の安全を守るという水戸市の責任が果たせるのではないでしょうか。

日本原電は、東海第二原発の運転延長申請をしました。日本共産党茨城県委員会は申請前の先月9日に東海村で、申請を強行した24日に市内の茨城事務所で撤回をもとめて申し入れを行いました。また24日には、県内53の市民団体が共同で茨城事務所に抗議を行い、50名以上の市民がその場に駆けつけました。翌週29日には、原電の村松社長が市民団体からの抗議文の受け取りを拒否したため、東京の本社前で100名を越える市民が抗議の声をあげました。私はこれらの行動に参加しましたが、日本原電という会社が、市民の声にまったく耳を貸さず、ひたすら再稼働へと突き進む姿勢は明らかであると実感しました。

市として、市民の安心安全をまもる立場で、日本原電に対しキッパリと廃炉をもとめるべきですが、お答えください。

答弁【市民協働部長】

次に,原子力行政についてお答えいたします。

本市においては,使用済み核燃料が現存する東海第二発電所から30キロメートル圏内,いわゆるUPZに,市の全域が含まれておりますことから,発電所を巡る環境が如何なる状況であろうとも,あらゆる事態に備えて,広域避難計画の策定を進めているところでございます。

広域避難計画につきましては,本市の約17万人の市民を受け入れていただく県外避難先の栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県の約30の自治体との調整を重点的に取り組んでおります。

具体的には,町丁別ごとの避難所の設定や,県外避難先において,市民の誘導,案内等を行うことができる施設の選定などを行っており,概ね,受入れ自治体と合意が図られてきた状況であります。現在は,協定書の内容の精査をはじめ,実際に災害が起きた場合を想定したきめ細かなルール等の確認を行っているところでございます。

今後のスケジュールにつきましては,本年度末から,来年度の早い時期にかけて,現在調整している県外の自治体との協定締結を目指しているところであり,その後,昨年7月に策定いたしました広域避難計画の骨子に,避難先などを追加し,骨子から計画へと改定する予定でございます。

原子力の避難対策につきましては,国や県との連携が不可欠であるスクリーニングや安定ヨウ素剤配布の手順や場所,複合災害への備えなどの課題もありますことから,引き続き,対応策を積み上げ,実効性を高めてまいります。

再稼働の議論につきましては,原子力規制委員会の新規制基準に適合することはもちろんのこと,安全協定の見直し,そして,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,あり得ないものと考えております。

あわせて,東海第二発電所の営業開始から39年が経過していること,商業用の原子炉としては首都圏から最も近いこと,さらには,事故発生時には避難対象者が約96万人に及び,全国で最も多いことなどの現状を踏まえ,原子力規制委員会を初めとする国の動向を注視してまいります。