日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い一般質問を行います。

はじめに、新市民会館整備計画について伺います。

私はこれまで、現計画には需要の見込みがないということを、経済が縮小し少子化に向かっている時代の状況、興行業界の流れや全国の例などを示しながら主張してきました。

まず、事業推進計画では、年間の目標来館者数が60万人となっていますが、設定の根拠、現実的な見込みについてお答えください。

おそらく2000席ホールが使われるのは、年に数回あるかどうかという市民会館に、いったいどこから、60万人という人がやってくるのでしょう。大ホール席ホール以外にも、全体では3700人のキャパがあるということですが、例えば、1年間、すべての土日祝日が、そのキャパいっぱいに入ったとしても、44万人です。まるで、市民をごまかすための過大広告ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

私は、この間、県民文化センターと小美玉市のみの~れで、じっくりとお話を聞いてきました。どちらも稼働率が高く、運営についても実績のある施設です。特にみの~れは、計画の始まりから市民が加わり、設計から現在の運営まで、まさに市民と行政が一体となったホールとし、て全国で最も注目されている成功例ですから、学ぶ点や目からウロコの驚きが沢山ありました。

ところが、お聞きしてみると、そのどちらにも「水戸市さんは来ていない」とのことでした。すぐ近くに成功しているホールがあるのに、なぜ、市として、文化センターやみの~れでレクチャーを受けなかったのでしょうか。八王子や佐世保に行く前に、まず身近なホール施設のイロハを学ぶべきではなかったのかと考えますがいかがですか。

ホールづくりや運営について学べば、現計画の致命的な問題点、駐車場や搬入口の問題にしても、稼働率や周辺環境の問題にしても、はじめから無謀な計画だということはわかったはずです。

そもそも、根本的に文化施設についての考え方がおかしいのです。経済団体からの要望、まちなか再生のためといいますが、文化行政というのはお金を生むものではありません。市民の文化の向上に資するものであり、市民の暮らしやこころを豊かにするためのものです。その理念が抜け落ちているために、このような捕らぬ狸の皮算用のような数字、現実を無視した夢と願望だけの大風呂敷をひろげる計画になってしまうのです。

さらに言えば、たとえ来館者が60万人になったからといって、経済効果があるでしょうか。何度も言いますが、ホール施設というのは、周辺に賑わいができる施設ではありません。商業施設や、役所や駅や公園など人が不定期にゆきかう公共施設などでなければ、周囲にお店が出来たり賑わったりはしません。なぜその違いがわからないのか、あるいはわかっていても無視し続けるのでしょうか。普通にリサーチをし、シミュレーションしてみれば、誰にでもわかる現実です。

また、市民会館は市民のための施設であり、自治体が市民の文化活動の発展と未来に責任をもつという、明確な理念で文化行政に取り組んでいるところでは、直営で運営をしています。経済性では測れない価値をもたらすものが文化芸術だからです。ところが、経済性すら疑問符だらけの計画で、運営は指定管理者に丸投げしてしまうという市の計画は、いったいなんのための誰のための市民会館なのかわかりません。

多くの市民や子どもたちが、もとの市民会館規模の活用しやすいホールが早く欲しいと待ち望んでいます。反対地権者もいる再開発事業ではいったいいつになったらできるのかもわかりません。その上、街の真ん中で無用の長物となってしまう現計画はきっぱりと断念し、一日も早く、市民に愛され活用される市民会館に計画を見直すべきです。大失敗をする前に、水戸市の未来について真剣に考えていただきたいと強く求めてこの質問を終わります。

答弁【市民協働部長】

土田議員の一般質問のうち,新市民会館整備計画についてお答えをいたします。

初めに,年間来館者数の目標である60万人につきましては,新市民会館は,市民の芸術文化活動を促進するとともに,著名なアーティストの公演,各種イベントや会議等が開催できる施設として整備するものであり,旧市民会館の年間利用者数が約30万人であったことや,新市民会館の施設規模,運営における積極的取組などを勘案して設定し,試算したものであります。

この数値目標につきましては,具体的には,関東甲信越静地区の2,000席以上のホールの平均稼働率や,旧市民会館の会議室,練習室等の稼働率を参考に,新市民会館の稼働率を設定したものであり,さらに,エントランスホールやロビーなどを学習や安らぎのスペースとして,多くの人々が日常的に訪れること,3,000人規模のコンベンションを誘致することなどにより,年間60万人を超える来館者数の実現は十分に可能であると考えております。

また,新市民会館事業推進計画につきましては,茨城県立県民文化センターをはじめ,同規模程度の類似施設について,視察や聴き取りを行うなど,さまざまな御意見を参考にしながら,策定したところです。

次に,新市民会館の管理運営についてお答えをいたします。

新市民会館を直営にすべきとの御指摘についてでございますが,運営主体を検討した結果,興行主等との多彩なネットワークを活用し,積極的に営業活動をすることにより,市民に向けて,より多くの鑑賞機会を提供するとともに,専門性の高い技術・技能により,多様な市民活動を支援することができるなど,市民サービスの向上が見込まれ,経費の縮減にも積極的に取り組めることから,指定管理者制度を導入することとし,市議会特別委員会で御承認いただいております。

新市民会館は,市民の芸術文化活動を促進するとともに,著名なアーティストの公演,各種イベントや会議等が開催できる施設であるため,全国を回るコンサートツアーや全国規模の大会や式典等が開催できるよう,2,000席の大ホールや500席程度の中ホールをはじめ,小ホール,展示ホール,会議室等を整備することとしております。

また,興行主催者等との意見交換により,「ホールの規模は,採算性を踏まえると客席数が多いことが好ましく,水戸市に,2,000席規模のホールができた場合には,コンサートツアーの会場として期待できる。」との見解も伺っております。

中規模のホールが必要との御指摘についてでございますが,大ホールの客席を観客数に合わせ,段階的に利用できるなど,運営の工夫によって,様々な市民需要に応えてまいります。

本市といたしましては,全国の多くの方々が快適に施設を利用でき,「また来たい」,「また開催したい」と思っていただけるような新市民会館の整備を進めてまいります。