日本共産党水戸市議団の土田記代美です。通告に従い一般質問を行います。

(1.原子力行政について)

重大な内部被ばく事故を起こした日本原子力研究開発機構に対し、日本共産党茨城県議団は、翌日、現地でヒアリング調査と申し入れを行い、水戸市議団もその報告を受けました。
私が、何より怒りを覚えたのは、事故発生後、除染装置を設置するために、プルトニウムの飛び散った室内に、作業員の方たちが3時間から5時間も閉じ込められていたということです。そもそも核物質を扱う事業者としてありえない危機管理ではないでしょうか。
今回、26年も放置していた容器を開けたのは施設廃止にともなう処分のため、少しでも保管数を減らしたいという思惑で、容器にさらに他の核物質を入れるスペースがないか確かめようとしたとのことでした。危険な作業に対し、あまりにおそまつな動機であり、呆れて言葉もありませんでした。
機構およびその前身である動燃では、これまでも事故が多発し、また、核物質等の保管もずさんであるなど、組織の体質が問題視されていました。旧動燃では、安全管理について、あるいは事故の公表や検証について意見をいう職員を、不当に差別してきたことが明らかにされ、現在、水戸地裁で裁判が行われています。
今回、事故の連絡、報告等はどうだったのか。市の対応についても伺います。
原発事故以前から、JCOの臨界事故や再処理施設の火災爆発事故など、私たちは身近に原子力施設の危険にさらされてきました。機構にしても、原電にしても、原子力を扱う事業者として、とても信頼はできません。事故原因の解明と再発防止について、市としても厳しく対応していただきたい。さらに、市民を守るためには、東海第2原発の運転延長などはありえないもので、ただちに廃炉をもとめるべきです。

次に、「常陽」は、現在、適合性審査が行われていますが、本来140メガワットの熱出力を100メガワットで運転するとして申請し、規制委員会に差し戻されています。新基準では、避難区域の設定が140メガワットでは30km圏内となり、100メガワット以内なら5km圏内とされるため、避難区域の拡大を避けたいという、あまりに姑息な申請であり、機構の姿勢が問われるものです。
実験炉とはいえ、危険な高速炉であり、水戸市は隣接しています。市の避難計画は、震災前の基準のまま8km圏内とのことですが、今後、どうするのか伺います。
もんじゅの廃炉が決定され、実験炉としての「常陽」の役目も終わっていると考えますが、核燃サイクルの破たんや、機構の安全管理および「常陽」の再稼働についても、厳しい判断をもとめます。

答弁:市民協働部長

土田議員の一般質問のうち,原子力行政について,お答えいたします。

今月6日,国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センター内において,保管する核燃料物質の点検中に,作業員が被ばくするという重大な事故が発生しました。

作業員の方は,今後も継続して,専門機関(放射線医学総合研究所)で検査・治療を受けるとのことであり,身体への影響が最小限に抑えられますよう,心からお祈り申し上げます。

今回の事故における本市の対応につきましては,本市は,当該施設の隣接自治体であることから,事業者である日本原子力研究開発機構と安全協定を締結しており,事故後,協定に基づき,事故の状況等について,随時,報告を受け,正確な情報の収集に努めたところであります。

特に,市民の安全確保を最優先に考え,施設外への放射性物質の放出がないことや,今後放出する可能性がないことについて,きめ細かに事業者に確認するとともに,本市独自でも,施設周辺や市内に設置してあるモニタリングポストの数値を注視しながら,情報発信体制を再確認するなど,あらゆる事態に備えていたところでございます。

また,事故発生の翌日には,茨城県や関係自治体とともに,施設の立入調査を実施し,事故の詳細や対策,施設の安全確保体制等について,現地にて確認を行いました。

その結果も踏まえ,事故の概要や環境へ影響がないことなどを市ホームページに掲載するとともに,市民からの相談に個別に対応し,分かりやすい言葉で説明するなど,情報提供に努めたところでございます。

さらに,6月8日には,事業者に対して緊急要請を実施し,「事故の原因究明を早急に行うこと」をはじめ,「管理・運営体制を根本から見直し,再発防止に取り組むこと」,「地域住民に対し,丁寧に説明を行うこと」などについて強く求めました。

原子力施設を管理・運営する事業者においては,二重・三重に安全対策を講じることは当然の責務であり,原子力事故はあってはならないものであります。さらには,今回の事故に関する事業者の対応は,被ばくした作業員への防護措置をはじめ,正確な状況把握と情報発信という点において,適切とは言い難く,事故を起こしたことはもとより,その後の対応についても,大変遺憾に感じているところであります。

本市においては,今後とも,事業者に対し,事故の原因究明や再発防止に向けた体制づくりについて,要求,確認を行いながら,市民の皆様へ正確な情報を提供し,不安払拭に努めてまいります。

次に,高速実験炉「常陽」についてお答えいたします。

本年3月に日本原子力研究開発機構が提出した「常陽」の安全審査申請を巡っては,4月に開催された初の審査会合において,原子力規制委員会から,「運用する熱出力を書面上だけで低く抑えており,申請した熱出力と設備が持つ性能に整合がない」などの指摘を受け,異例とも言える審査保留が通知されたところであります。

本市が周辺の原子力施設に対し求めることは,施設の万全な安全対策であります。日本原子力研究開発機構には,原子力の研究施設としての自覚と責任をしっかりと持ち,運転再開の時期等に捉われることなく,安全性の確保に最優先で取り組むとともに,地域住民への丁寧な説明に努めていただきたいと考えております。

次に「常陽」の事故に備えた安全対策についてお答えいたします。

「常陽」については,現在,茨城県が国の指針に基づき,施設から約8キロメートルを原子力災害対策重点区域と定めております。

本市においては,県の指定を踏まえ,その範囲に一部でも含まれる町丁目を対象に,避難ルートや避難場所等を定めた避難計画を整備し,あらゆる事態に対処できるように備えているところであります。

また,「常陽」を含む研究施設の重点区域については,国の指針において,その範囲が見直されているところであり,茨城県が,安全審査の結果に基づき,5キロメートル,又は,30キロメートルに区域を変更することが見込まれております。

本市においては,今後,重点区域が変更された際には,速やかにその区域に応じた新たな避難計画を策定するとともに,対象地区をはじめとする市民の皆様に対し,丁寧に説明してまいります。