次に施設規模と機能について伺います。

先月、エンジン01文化戦力会議に、私も参加しました。126名もの講師が集結し、多くの講座が組まれた盛大なイベントが、新たなコンベンション施設がなくても、それこそ水戸藩精神で、あるものを活用し、立派に開催できたわけです。改めて3700人収容のコンベンション施設は必要ないと考えますがいかがですか。

また、特別委員会での伊東豊雄氏の説明では、2000席の大ホールについて、成功している松本のホールはオペラも出来る本格的な劇場だが、水戸市民会館でつくるのは一般的な多目的ホールだということでした。これでは、乱立し苦戦している他市の2000規模ホールと同様、赤字を生み続ける負の遺産になると考えますが、いかがですか。

特別に音がいいとか、盆やセリや特別な機能が充実していて特殊な舞台も実現できるとか、なにかしら特化された仕様がなければ、他施設との差別化は図れず、競争力はありません。それでも、水戸市で2000席を埋めていくのは、難しいとは思いますが、単に一般的な2000席ホールでは、採算性は絶望的です。

先日のエンジン01で、あれほどのアーティストの豪華な競演が500円で聴けるという、とびきりお得なコンサートでさえ、文化センターの1500席が埋まらないのです。あの日、出演していた姿月あさとさんは、同じ日に発売になった2日間のコンサートのチケットが30秒で売り切れたというアーティストです。あまい夢物語で大きなホールをつくっても、水戸の鑑賞人口が急に増えるわけではありません。

今、示されている莫大な整備費用だけでも、市民を不安にさせていますが、水戸市では、すでに、芸術館にも毎年8億円もの税金がつぎ込まれています。さらに、新市民会館の運用にどれだけの税金をつぎ込むことになるのか。市民にとって、とても納得できるものではありません。

公共ホール運営は、全国的に厳しい時代ですが、中には、市民に歓迎されて開館し、にぎわっているホールもあります。ここ数年でみても、例えば、山形県の南陽市文化会館は、地元木材をつかった1400席の大ホールで、一流アーティスト公演が目白押しだそうです。ホールの質が高く、口コミでアーティストが来たがる施設になっているからだということです。今、時代の流れは変わっており、2000席なければ、一流アーティストが来ないという定説は崩れています。質の高いホールなら、立地や規模の条件をこえて選ばれる可能性があります。

また、長野県上田市のサントミューゼは、企業が撤退した跡地利用で、基本構想段階から市民の意見聴取を重ねて、当初1700席の計画を1500席に変えるなど、柔軟に市民要望を取り入れて、およそ5年で開館し、多くの市民でにぎわっているとのことです。

これらの施設の共通点は、ホール施設と、市民センター的な機能、キッズルームや市民交流の場、市の窓口機能などを組み合わせた複合施設となっていることです。また、運営が市直営で、市民の文化、市民活動の拠点として、市が責任をもって発展に取り組む姿勢と、市民とともに育てる施設であるという理念が明確にされていることも共通しています。

水戸市の現計画との決定的な違いは、経済団体からの要望で、一過性の不明瞭な経済効果のためにつくる施設か、市民からの要望で、市民の文化と住民の笑顔を長期的視野で育てるためにつくる施設かということです。

市民の声を聞かず、いつになったら完成するのかわからない無駄に大きな市民会館ではなく、今、県都水戸市に足りないのは、質の高い中規模ホールと、200席、300席程度の使い勝手のよい小ホール、会議室や集会室、練習室など、市民活動の場です。市民の要望と必要性を満たす施設をつくってこそ、市民に愛され、活用される市民会館となると考えますが、いかがですか。

以上で、一回目の質問を終わりますが、経済が縮小し、少子高齢化にむかう厳しい時代に、まるでバブル期のように、巨額の大型公共工事予算が積みあがっている水戸市の予算編成に、厳しい目が注がれています。すべては市民の収めている税金です。市民の生活に密着した必要な予算や喫緊の課題について、積極的に取り組む真摯なご答弁をお願いいたします。

答弁≪市民協働部長≫
次に,新市民会館整備計画のうち,施設規模と機能について,お答えをいたします。

新市民会館は,市民の芸術文化活動を促進するとともに,著名なアーティストの公演,各種イベントや会議等が開催できる施設としてまいりたいと考えております。

水戸商工会議所,市文化振興協議会等多くの市民からは,全国規模の大会や式典,大規模イベントをはじめ,吹奏楽や合唱コンクールなどの関東大会や全国大会の開催に向け,2,000席規模のホールを有する施設の整備が求められています。

また,興行主催者に対し,ヒアリングを行ったところ,「ホールの規模は,採算性を踏まえると客席数が多いことが好ましく,水戸市に2,000席規模のホールができた場合には,コンサートツアーの会場として期待できる。」との見解を伺っております。

このため,全国を回るコンサートツアーや全国規模の大会や式典等が開催できるよう,2,000席のホールをはじめ,3,000人規模のコンベンションの開催が可能となる,十分な広さと数を備えた展示室や会議室等を,整備することとしたものであります。

現在,泉町1丁目北地区市街地再開発準備組合と連携して検討している新市民会館の基本設計では,2,000席のホールや500席の多機能ホールのほか,小規模な演奏会や演劇等の公演も可能な小ホール,会議室,防音性に優れた練習室,託児スペースや学生のための学習拠点を計画しております。

新市民会館につきましては,高齢者,学生,子育て世代など,あらゆる人々がいつでも気軽に立ち寄ることができ,安らぎとにぎわいを生み出す交流拠点として,整備してまいります。

そして,多くの人々がさまざまな芸術や文化と出会い,豊かな心と感性を育て,市民が主体的に活動できる場の充実を図ってまいります。