2019年3月議会 田中マサキ議員 一般質問 (質問と答弁) 2019.3.13

<田中議員>
1. 消費税増税と上下水道料金値上げ中止について
日本共産党水戸市議団の田中マサキです。通告に従い一般質問を行います。
はじめに、消費税増税について質問します。安倍政権は10月から消費税を10%に引き上げるとしています。
わが党は、所得の少ない人に重くのしかかる消費税にはもともと反対ですが、今回の増税には重大な問題がいくつもあります。
第一は、こんな経済情勢で増税していいのかということです。
毎月勤労統計の不正で、昨年の賃金上昇率は大きくかさ上げされました。このかさ上げ分を除くと、昨年の実質賃金はマイナスです。
税率を10%に引き上げれば、一人年間2万1500円、四人家族で8万6000円の増税となります。深刻な消費不況のなか、総額5兆円もの大増税をおこなえば、水戸市の地域経済はもとより、日本経済全体に深刻な影響を及ぼすことは明らかです。
国は「経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を総動員する」といいますが、その内容にも批判が噴出しています。
キャッシュレス決済利用者へのポイント還元も、中小小売業者の多大な負担と混乱は避けられず、何より一時的な施策にすぎません。
家計や所得、雇用のどれをみても、増税の根拠は崩れています。景気対策のために増税するなど、政府の無能無策を示す以外のなにものでもありません。
社会保障と子育て・教育の財源がないのなら、なぜ富裕層と大企業に応分の負担を求めないのでしょうか。
彼らには減税、庶民には増税など、キッパリ中止するよう国に求める考えはないのか、また市民生活への影響についてどのように考えているのかあわせて伺います。
水戸市は消費税増税の2%分について、水道料金や下水道料金、農業集落排水や公設市場などの料金を値上げするとしていますが、その影響額はどれくらいなのか。
財政調整基金などを活用し、水道料金への消費税転嫁をはじめ、公共料金の値上げはやめるべきと考えますがお答えください。

■答弁(財務部長) 消費税率の引上げについて
田中議員の一般質問のうち,消費税に関するご質問にお答えいたします。
消費税率の引上げにつきましては,社会保障と税の一体改革に基づき,持続可能な社会保障制度を構築するため実施されるものであり,少子高齢化の進行等に伴い,社会保障費の増加が避けられない中,国と地方の安定的な財政運営を確保するため,必要不可欠なものであります。
安心して子どもを生み育てることができる環境づくりとして,本年10月から実施される幼児教育・保育の無償化など,様々な社会保障施策の安定的な財源となるものでございます。
市民生活への影響につきましては,軽減税率が導入されるほか,低所得者及び子育て世帯向けのプレミアム付商品券の発行や,中小小売業における消費者へのポイント還元など,経済への影響を平準化するため,国においては,あらゆる施策を総動員するとしております。
あわせて,本市独自の施策として実施する,3歳未満の保育料の引下げや子ども医療福祉費の所得制限の撤廃,高齢者インフルエンザ予防接種費用の補助額の拡充なども,市民の皆様の負担軽減に寄与するものと考えております。
次に,公共料金の改定について,お答えいたします。
本議会には,公設地方卸売市場事業,農業集落排水処理事業,水道事業,下水道事業の4つの会計において,消費税の引き上げに伴う料金改定の議案を提出しておりますが,これらの会計は,いずれも消費税納付が義務付けられており,将来にわたる健全運営のため,これは不可欠なものであります。
なお,平成31年度予算における改定影響額は,合計で約8,750万円でございます。
また,財政調整基金は,災害等の不測の事態への対応や,年度間の財政需要の不均衡を調整するものでありますので,料金改定を実施せず,基金の取り崩しで対応することは,持続可能な財政運営を阻害する要因になるものと考えております。

<田中議員>
2.子育て支援―開放学級の拡充について
次に開放学級についてです。学童保育や開放学級は、子ども達が放課後に安心して過ごせる「生活の場」として、近年ますますその役割が高まっています。
5年前には、厚生労働省が運営の基準や支援員の資格要件を定め、子どもの最善の利益を保障すること、発達過程や家庭環境も考慮して運営すること、専門的な知識や技能を備えた支援員の配置を自治体に求めています。
水戸市にもこれに沿った拡充が求められています。現在の開放学級の待機児童は111人、全学年受け入れが14校、未実施が19校ですが、来年度の専用棟建設は稲荷第一小学校だけです。
これで来年度中に待機児童解消と全学年受入れができる保証がどこにあるのでしょうか。定員超過や図工室利用の学級もあり、子ども達が長時間過ごすにふさわしい環境へ、独立した専用棟を増やすべきと考えますが見解を伺います。
受入れをふやすには支援員確保が欠かせませんが、時給900円。週5日勤務しても月約7万円。昇給もない待遇では確保が難しいのは当然です。
支援員には、子どもの様子をよく観察することや、発達に応じた対応が求められます。年齢や興味関心も様々な子ども達に、時には母親役、時には先生役、保育士役など、1人何役もこなす専門職としての技能も必要です。
そうした専門性を適正に評価すべく、国も処遇改善のため給与加算や、キャリアアップの補助をつくりましたが、市の支援員には活用されていません。
現在の雇用形態の改善や、保育の質向上にむけた研修の充実も含め、待遇改善の計画があるのかお答えください。
民間学童クラブの保護者アンケートによると、夕方6時までの開放学級ではお迎えが間に合わないため民間学童に預けたという例が8割をこえています。
国は最低6時半までは開設するよう基準を示していますが水戸市の場合、6時までが16校、6時半までが17校です。午後7時までの延長をめざして、まずは6時半に統一すべきですが所見を伺います。
特に、来年度は1つの小学校の開放学級を民間企業に委託するとしています。委託すれば運営は民間にゆだねられ、学校により内容が変わることになります。市直営から民間への変更が事前に保護者に知らされず、事後承諾というのも問題ではないでしょうか。支援員確保が困難との理由ですが、待遇改善しないまま民間委託しても支援員の処遇がよくなる保障はなく、利益にならなければ保育の質や指導員の待遇悪化、運営からの撤退さえ懸念されます。
来年度から独立する放課後児童課が、市直営で質の高い開放学級をめざすプランをまず示すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

■答弁(教育部長)開放学級の拡充について
田中議員の子育て支援についての一般質問のうち,開放学級の拡充についてお答えいたします。
近年,家庭を取り巻く環境が大きく変化している中,開放学級のニーズは年々高まってきており,放課後等に子ども達が安心して過ごすことができる居場所を提供する開放学級の拡充は,早急に取り組むべき重要な課題であると認識しております。
そのため,本市では,2019年度末までにすべての小学校6年生までの対象児童を受け入れるという目標を掲げており,段階的に受入対象学年の拡大を図っているところです。
待機児童解消と全学年受入れにつきましては,3月1日現在,小学校及び義務教育学校33校で3,224人の児童を受け入れている一方,待機児童数は,15校で111人となっております。
また,14校において6年生までの受入れを実施しており,支援員の確保に努め,2019年度末までにすべての小学校6年生までの対象児童を受け入れるという目標の達成に努めてまいります。
実施施設につきましては,学校の余裕教室の活用を基本とし,余裕教室の活用ができない学校においては,専用棟の建設により整備することとしております。2019年度においては,各学校の更なる余裕教室の活用に加え,1校に専用棟を整備することにより,実施施設を確保してまいります。
次に,支援員確保と開設時間延長についてお答えいたします。
待機児童解消及び小学校6年生までの受入れ実施校の拡大のためには,学級数の増加に対応できるよう,毎日勤務できる支援員の更なる確保が必要となります。
本市では,これまで,ハローワークへの求人,広報みとやホームページを活用し,支援員の募集を行ってまいりましたが,適正な支援員数の確保には至りませんでした。
そのため,今年度新たに,水戸市PTA連絡協議会を通じて,すべての小中学校及び義務教育学校の約2万人の児童生徒の保護者に対して募集を行ったところですが,毎日勤務できる支援員の応募は,ほとんどない状況でございます。
また,入級児童数の増加や対象学年の拡大に伴い,人間関係の構築など,新たな課題が生じていることから,開放学級の運営に対し,具体的な指導・助言を行えるよう,今年度から,学校長経験者を新たに任用し,各開放学級に対するサポート体制を充実させ,支援員の働きやすい環境づくりにも努めたところです。
しかしながら,現在においても,十分な支援員の確保には至っていないことから,支援員の確保に向け,処遇改善として,1時間相当の報酬額を,今年度の900円から,2019年度は1,000円に引き上げる予算案を本議会に提案しているところです。
今後におきましては,これらの取組に加え,サポート体制を強化するなど,一層支援員が働きやすい環境づくりを進めるとともに,民間委託も含め,支援員の更なる確保を図り,現在,午後6時30分まで延長している17校以外の学校につきましても,開設時間の延長について検討してまいります。
次に,民間委託についてお答えいたします。
本市では,支援員確保のために様々な取組を実施しているところですが,十分な支援員の確保に至っておらず,保護者からも受入対象学年の拡大や待機児童解消についての強い要望が寄せられているところです。
そのため,新たな方策として,支援員の確保が極めて困難であり,待機児童が最も多い小学校を対象に,本年4月から,「待機児童解消のためのモデル事業」として,開放学級の運営を民間事業者に委託するための予算案を本議会で提案しているところです。
開放学級の運営を民間事業者に委託することにより,民間事業者の人材を活用した専門性を有する支援員の確保が可能となり,6年生までの受入対象学年の拡大及び待機児童解消が見込めることに加え,放課後学習の充実など,いわゆるアフタースクールとしての内容の充実も期待できると考えております。
今後におきましては,民間活力活用のモデル事業の検証も含め,開放学級の管理運営や,そのあり方について検討するとともに,民間学童クラブとの連携や放課後子ども教室との一体的な運営の強化を図るなど,いわゆるアフタースクールの要素を十分に取り入れ,保護者からの要望に応えられるよう,放課後における児童の健全育成を一層推進してまいります。

<田中議員>
3.市民センターの拡充について
①水戸市市民センター総合管理計画における改修スケジュールについて
次に、市民センターについて質問します。小学校区ごとにある市民センターは生涯学習の拠点であり、地域コミュニティに欠かすことのできない施設です。
しかし、建築後30年以上の建物が半数以上、老朽化は深刻です。建物や敷地も狭いセンターが多く、その拡充が切実な市民要望となっています。
昨年、市が発表した市民センター総合管理計画では、2027年度までの10年間で、21か所の市民センターの中規模改修を行うとしています。
しかし今後3年間での具体化は3か所(緑岡・三の丸・寿)だけです。地元調整から完成まで1か所最低3年かかることを考えても、その後(2022年から2027年まで)の6年間で、17か所の改修ができるとは思えません。予算をつけスピードアップしなければ、計画倒れになるのではないかと考えますが答弁願います。

②地区人口と施設規模、バリアフリー化について
もう一つの質問は、市がやろうとしている改修が中規模改修であり、増築や改築ではない点です。毎月の施設予約日には、朝から多くの市民が行列をつくっています。ある社交ダンスサークルは見和・吉沢・笠原など6カ所の市民センターを転々としながら練習しているとのことです。
市が定める市民センターの面積基準によると、人口5000人以上の地区は800㎡ですが、これを満たしていないセンターは吉田、笠原、寿、見川、堀原など11箇所、エレベーターのないセンターも5か所あります。
中規模改修はあくまでリフォームであり、部屋の増設やバリアフリー化は遠い先の話になってしまいますし、施設予約の苦労も解決できません。
そこで、面積基準を満たしていないセンターは、増築か改築する方針に変更すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

■答弁(市民協働部長)市民センターの拡充について
田中議員の一般質問のうち,市民センターの拡充についてお答えいたします。
市民センターは,地域におけるコミュニティ活動や生涯学習活動,子育て支援や多世代交流活動,さらには,地域防災活動の拠点として,各種団体やグループ等,多数の皆様に御利用いただいております。
市民センターの改修につきましては,施設を長期間使用する長寿命化型改修を計画的に進めること等を基本方針として,ライフサイクルコストの低減及び費用の平準化を目指すため「水戸市市民センター総合管理計画」を昨年8月に策定し,施設改修のスケジュール化を図ったところであります。
当計画においては,施設の建築年により使用年数を定めて,20年ごとに中規模または大規模改修を行うこととし,2018年度から2027年度の10年間において,21施設を中規模改修する計画としております。今後は,計画の適正な進捗管理に努めるとともに,施設の状況を勘案しながら,3か年実施計画への位置付けを行い事業の推進を図ってまいります。
中規模改修の実施に当たりましては,施設ごとに老朽化の進行状況等が異なることから,定期点検の結果や現地調査等により施設状況を把握するとともに,地域の皆様の意見も伺いながら,改修が必要な箇所について整理することとしております。
中規模改修の内容につきましては,長寿命化を図ることを趣旨としていることから,基本的に,増改築は行わず,建物・設備の部分的な修繕・改修をはじめ空調設備や衛生設備の更新,その他不具合箇所の修繕等を行うこととしております。また,安全で快適に利用できる環境とするため,バリアフリー化の重要性は認識しているところであり,中規模改修の時期にとらわれることなく,個別の案件ごとの判断を行ってまいります。
市民センターは,地域活動の拠点として市民の皆様に広く利用されている施設でありますので,利用される方が安全に,安心して利用いただける施設となることを目指し,施設整備を推進してまいります。

5.東海第2原発の再稼働反対について
(1)地震多発地帯における原発の危険性について
次に、東海第二原発の再稼働について質問します。
この間、原発をめぐる事態は急変しました。昨年12月、茨城県は20年ぶりに地震被害想定を大幅に見直しました。2月22日、日本原電は「再稼働をめざす」との意向を正式に表明しました。その直後に、政府の地震調査委員会が、茨城県および東北地方に、巨大地震が切迫していることを発表しました。
この一連の動きに水戸市民は大きな衝撃をうけました。
来年度は国体の年です。水戸市や茨城県あげて取り組んでいるさなか、古くて危険な東海第二の再稼働表明、全国にむけてこれ以上のイメージダウンがあるでしょうか。
市長はこれまで、「新規制基準への適合と、実効性ある避難計画の策定ができない限り、再稼働の議論はありえない」と繰り返してきましたが、新規制基準については昨年11月、国がゴーサインを出しました。
その規制委員会が、県の説明会において「基準を満たしても安全性が確保できるわけではない」と無責任な態度に終始しました。知事も安全性に絶対はない、と明言したわけですから、この時点で市長は結論を出すべきだったのです。
県の新しい被害想定と20年前の想定の大きな違いは、県北部のF1断層、棚倉断層が活断層であると認めたこと、そのうえ太平洋プレート北部の地震が想定されたことです。
特に棚倉断層は、日本列島形成に大きな影響を与えた全国有数の大断層です。
(パネル示す)これがその図面です。福島県の猪苗代湖付近から茨城県方面に南北タテに走る断層が棚倉断層です。
福島県棚倉町の名前をとって、棚倉断層と名付けられていますが、そのほとんどは茨城県内の断層です。しかも、県の示した断層は常陸太田市までとされていますが、実はそうではないことが各種の研究で示されています。
例えば「日本列島を縦断する構造線の存在と地震活動度に関する研究」では、棚倉断層が太平洋まで伸びていると示されています。これは高レベル放射性廃棄物の地層処分場建設を目的とした研究の結果です。茨城県自然博物館の報告書でも棚倉断層が太平洋上に伸びていると地図上に明記されているのです。
ルートについては諸説ありますが、東海第2原発付近を貫いていることは明らかなことです。
さらに、太平洋プレート北部の断層による地震は、東海村の直下が破壊の開始点と記されています。
水戸市や原子力防災対策会議はこうした事実を承知しているのでしょうか。
国の合格判定をうのみにせず、地震多発地帯における原発の危険性について、水戸市が独自に検証する考えはないのか、所見を伺います。

(2)広域避難計画の「実効性」について
市長が、再稼働の議論の前提とした広域避難計画について、伺います。
そもそも国の原子力規制委員会は、避難計画の実効性の評価や審査は規制委員会の権限外である、原子力事業者に避難計画の提出を求めない、避難計画を再稼働の条件としない、という態度です。
それをいいことに日本原電は、一方的に再稼働を表明し、国からお墨付きをもらえば協定の相手などお構いなし、解釈次第でどうにでもなる、いずれ県も市町村も同意する、という姿勢をあからさまに示しました。
県は、広域避難のためのバスや、福祉車両を配車するシステムを開発するため、約6000万円も予算化したといいます。絶対的なバスの不足や運転手確保のめどが立つはずがないのに、なぜ県民の血税を6000万円も使わなければならないのでしょうか。
避難ルートや渋滞発生、スクリーニング、複合災害、市役所機能など多くの問題点が棚上げです。あらゆる点で非現実的であり、どんな基準をもって「実効性を確保した」と判断するつもりなのかお答えください。

(3)市民意向の反映について
再稼働をめぐっては、7割以上の住民が住民投票など直接的な意思表明を望んでいることが、茨城大学が行った住民アンケート調査でわかりました。
市長は「水戸市原子力防災対策会議で市民意向を把握する」としていますが、原発推進の専門家や、ごく一部の代表で構成されており、幅広い市民の声を集約する組織ではありません。住民投票を含め、幅広く市民の意見を聞く考えはないのか伺います。
どんな調査でも水戸市民の圧倒的多数は東海第2原発再稼働反対です。
原電という一企業に、これだけ県や市町村がないがしろにされているのですから、県都水戸市が意地と筋を通して「同意できない」と声をあげるべきです。
一日も早い再稼働反対の表明を求め、第一回の質問を終わります。
答弁によりましては再質問致します。

■答弁(市民協働部長) 東海第二発電所について
次に,東海第二発電所について,お答えいたします。
東海第二発電所は,平成30年9月26日の原子炉設置変更許可,10月18日の工事計画認可,11月7日の運転期間延長認可の審査が,原子力規制委員会おいて終了いたしました。
国の審査基準につきましては,東京電力福島第一原子力発電所の教訓を踏まえ,最新の技術的・科学的知見等に基づき,自然災害,火災,テロ対策などを想定し,重大事故を防止するための対策が定められたものであります。
地震対策につきましては,揺れの強さや特性が異なる海溝型のプレート間地震,内陸の断層による地震などを想定することに加え,震源を,過去に発生した場所,国が予測している場所などにおいて設定し,様々な影響を考慮した上で,発電所の耐震設計や津波に関する安全対策を講じる計画となっております。
新たな地震予測につきましては,先月,国の地震調査研究推進本部から「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」が示されたところであり,これまでの地震予測に固執することなく,長期的に発生し得る地震の多様性や,海溝型の特性である規模の大きな地震を考慮するなど,新たな知見を取り入れたものであります。
これを受け,3月5日,原子力規制庁から日本原電に対して,東海第二発電所の現状の地震対策によって,新たな地震予測にも耐えうるものか,精査し,結果を報告するよう指示があり,日本原電は,現在確認中であるとのことでありました。
本市といたしましては,日本原電に対して,あらゆるリスクを評価し,万全の安全対策を求めるとともに,原子力規制庁の動向を注視してまいります。
次に,広域避難計画の実効性について,お答えいたします。
広域避難につきましては,平成28年8月の,茨城県内の避難先であるつくば市や古河市など9自治体との協定締結にはじまり,昨年2月に群馬県内の8自治体,5月に栃木県内の6自治体,10月に千葉県内の6自治体と,そして12月には埼玉県内の11自治体と,初動時における避難所への誘導,避難所の開設,運営等に御協力いただくことなど,広域避難に関する基本的な事項について合意いただき,27万人,全市民の避難先を確保したところでございます。
現在は,茨城県において,県内の避難所における避難スペースの確認作業を進めていることなどから,本市においても,改めて,県内で受入れていただく9自治体と避難所の調整などを行っているところであります。
調整終了後,先ずは,本市の避難単位である地区ごとの避難先自治体を,議会に報告した上で,市民の皆様に公表してまいりたいと考えております。
避難退域時検査や安定ヨウ素剤配布の手順や場所,複合災害への備えをはじめ,避難車両の確保,避難ルートの設定,要配慮者の対応などの課題につきましては,国や県と連携し,引き続き対応策を積み上げ,広域避難計画の実効性を高めてまいります。
今後については,平成28年7月に策定した「水戸市広域避難計画 骨子」に,避難ルートや個別の避難先,整理した課題などを追加し,骨子から計画へと改定する予定であり,その際,住民説明会などを通じて,市民の皆様に,原子力災害時の防護措置や避難方法などを丁寧に説明してまいりたいと考えております。
実効性の確保につきましては,国などにおいて明確な基準がないことから,引き続き,国や県と連携しながら,各種課題の対応策を積み上げていくとともに,住民説明会などの場において,市民の皆様からいただいた御意見を計画に反映していくなど,あらゆる状況を想定した計画づくりに努めてまいります。
次に,市民意向の反映について,お答えいたします。
これまで,東海第二発電所の再稼働について,市議会の答弁などにおいて,「多くの市民の声を十分に考慮する」と述べてまいりました。
この「多くの市民の声を十分に考慮する」具体的な手法につきましては,これまでも,地域の防災訓練をはじめ,市民の皆様や各種団体から多くの御意見をいただいているところでありますので,引き続き,あらゆる機会,様々な場において御意見をいただくとともに,さらに多くの市民の皆様に御意見をいただく手法についても,検討してまいりたいと考えております。

<田中議員の再質問>
それぞれ答弁をいただきましたが、地震多発地帯における原発の危険性について再質問いたします。
棚倉断層の危険性についてはすでに述べましたが、実は、さらに重大な事実をしめす研究が、明らかになりました。
世界で特に権威のある学術雑誌のひとつ、ネイチャー誌は、阪神淡路大震災のあと、日本の震源地を代表する中央断層、これは中央構造線とも呼ばれていますが、この中央構造線についての知見を発表しました。
それによれば、中央構造線は茨城の南部を横切り、鹿島・大洗付近から太平洋に伸びており、その延長は、なんと太平洋プレートにまで達していることが判明したというのです。
これが中央構造線の図面です。(図面を示す)
中央構造線の北側では,東日本大震災を含め過去120年で18回の巨大地震が発生してきた歴史があります。最近の地震を赤い印で示しましたが一目瞭然、中央構造線ぞいに頻発しています。
一方、棚倉断層ですが、この断層は東海第2原発の近くから太平洋に入り、その南側の延長は、鹿島灘から銚子沖へ続くと推定されています。
つまり、日本列島を横断する中央構造線と、東日本と西日本をタテにわける棚倉断層が、茨城県沖でぶつかるというのです。
これは東海第2原発が、世界でも類をみない危険な場所にあることを示すものですが、国の原子力規制委員会と県の防災・危機管理課は、この事実を知らずに報告書を出したのか、それともあえて隠したのか、どちらにしても事は重大です。
まず、こうした事実を市はご存じなのか、お答えください。
最近、日本で起こる大地震はすべて想定外とされてきました。現実に、想定外のことが起こっているのです。想定を上回る巨大地震を考えるならば、再稼働をやめ、即座に廃炉にするしかありません。
国や県まかせで市民の命と財産を守ることはできません。
ただちに、再稼働反対の表明をするよう求めますがいかがか。
答弁をお願いします。
以上で私の質問を終わります。