2018年12月議会 日本共産党市議団 代表質問 田中まさき議員

<田中議員>
日本共産党水戸市議団の田中まさきです。通告に従い代表質問を行います。
1.東海第2原発の再稼働反対について
 (1)新規制基準への適合判断について(2)広域避難計画について

はじめに東海第2原発についてです。
11月28日、東海第二原子力発電所は、稼働してから40年が経過しました。
本来なら廃炉にすべき原発です。ところが、国の原子力規制委員会は期限切れ目前の11月7日、さらに20年もの運転延長を認可したのです。
先の県議選でも「60年も動かすなんてありえない」「電力はあまっている」「東海第2だけはとめてほしい」という声が、大きく広がりました。
こうした状況でもなお、市長がはっきりとした態度表明をしないとすれば、それは市民の安全に責任をもつ態度とはいえないと考えます。
市長は、今回の新規制基準への適合や、60年運転を認める国の判断に異議をとなえる意思はないのか、それとも問題なしと考えているのか伺います。
そもそも、原発は軍事目的で開発が始まり、原子力潜水艦や原子力空母に利用されたものです。軍事目的のため安全対策は二の次、その原子力潜水艦でさえ、原子炉はすべて加圧水型で、東海第2のような沸騰水型はただのひとつもありません。沸騰水型は気象状況や振動に弱く、冷却水が炉心を十分に冷やせない危険性が指摘されていたからです。つまり、軍事的にはすでに決着ずみの原子炉なのです。我が国で稼働しようとしている沸騰水型で最も古いのが東海第2原発です。

避難計画についてはどうでしょうか。アメリカ・ニューヨーク州のショアハム原発は、6600億円もかけて完成したにもかかわらず、避難計画の実効性に問題があり、避難は不可能と判断され、一度も動かすことなく廃炉となってしまいました。これが、住民のいのちと暮らしを第一に考える態度ではないでしょうか。ちなみに、この原発も東海第2と同じ沸騰水型だったのです。
半径30キロだけで96万人、世界一の人口密集地にたつ東海第2は、アメリカならば動かす事ができない原発です。
前回9月議会の私への答弁でも「全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,有り得ない」と答えています。
一昨日、医師や災害の専門家でつくる「避難所・避難生活学会」は、災害時の避難所には「T・K・B」すなわち、トイレ・キッチン・ベッドの整備が必要だという提言をまとめました。
避難中に命を失う災害関連死の主な原因が、不便で不潔なトイレや、冷たい食事、床での雑魚寝など劣悪な避難所の環境にあるという指摘です。
快適で充分な数のトイレがあれば、水や食事を控えることもなくなること。パンやおにぎりばかりではなく、温かく栄養の取れる食事を出すこと。段ボールベッドなどを使えば床の冷たさを防ぎ、ほこりを吸い込みにくく衛生的であるなど、被災者の命をつなぐためにTKBの改善が欠かせない、としています。
果たして水戸市がつくろうとしている原子力事故時の広域避難計画は、こうした問題をきちんと考慮しているのか。それとも、避難先で死亡するのはやむをえないとして計画をつくるのかお答えください。

(パネルを示して)これは、火山地質学が専門の早川由紀夫教授が作成した福島原発事故の放射能拡散図を、東海第2にあてはめたものです。
これをみると、水戸市の避難先であるつくば市や千葉県、埼玉県、栃木県はもちろん、東京方面にまで放射能が拡散することになります。そうであれば避難人口は100万人を超えるどころか、首都機能が完全にマヒしてしまいます。
茨城県や水戸市は、マイカー避難を原則としていますが、車を持たない人や、自力避難が困難な人は、バスで避難させる計画です。ところが先日、江尻かな県議が、茨城県のバス協会で伺ったところ「放射能が出たら避難には協力できない。運転手を被ばくさせるわけにはいかない」という最もなご意見でした。
このこと一つ見ても、全住民の避難は不可能です。住民の被ばく、避難手段、スクリーニング、ヨウ素剤配布など、どの問題でも「実効性ある避難計画」など成り立たないと考えますが、所見を伺います。
重大なのは、国の規制委員会が、東海第2の審査では自ら定めたルールさえ守らず、ゴーサインを出したことです。新規制基準では、火災防護対策として難燃ケーブルへの交換が原則です。適合性審査会合でさえ「燃えやすいケーブルを使用しており、安全レベルがすでに低下している」と指摘していました。
それなのに「防火シートを巻けばよい」と、ケーブルの交換率を52%にとどめようとしています。要するに原子力規制委員会が「全てのケーブル交換は困難」だという日本原電の意をくみ、大原則を変えたものに他なりません。
東海第2の運転延長を認可する直前、東電・柏崎刈羽原発でケーブル火災が発生しました。その原因はいまだにわかっておりません。
しかも11月28日、東海第2が稼働40年を迎えたまさにその日、東海第2の地下で原因不明の白煙が上がり、東海村の消防車が3台も出動する事態となりました。この事故の原因は究明されたのか、その報告はあったのでしょうか。
それだけではありません。規制委員会は先月28日、「周辺原子力施設で起こる事故の影響を審査で考慮するべき」との文書を確認しました。つまり「原発が事故を起こせば、周辺の原子力施設の維持管理が困難になり、広範で連鎖的な原子力事故につながることを考慮せよ」というのです。
東海第2からわずか2.8キロの場所に、日本原子力研究開発機構の東海再処理施設があります。ここには高レベル放射性固体廃棄物だけでもドラム缶約4300本、もっと危険な高レベル放射性廃液は370トン。冷却機能を失えば、放射性物質が外部に放出されると、規制委員会も認めています。
ところが、この危険な再処理施設を周辺原子力施設から除外してしまいました。とにかく住民の安全は二の次、原発の再稼働をむりやり進めているのが原子力規制委員会です。市長は、こういう審査の内容を何の検証もなしに受け入れようというのでしょうか。所見をうかがいます。

(3)日本原電の「拒否権は新協定にない」という発言について
日本原電は1740億円もかかる安全対策費を自力でねん出できず、東京電力に払ってもらうとしています。その東電は、被災者への賠償を次々打ち切っているのですからあきれた話です。しかも、20年の運転延長が認可された11月7日、日本原電株式会社の和智信隆(わちのぶたか)副社長は、水戸市を含む6市村との安全協定について「拒否権なんて言葉は、新協定のどこにもない」「解釈の違いは不思議」とまで言い放ったのです。
新協定に関する私達の議会質問に、市は「一自治体でも反対すれば再稼働はできない」と答えてきましたが、その答弁が真っ向から否定されたことになります。関係者の抗議に慌てた原電は、謝罪したものの、既成事実をつみあげ、協議とは名ばかり、最後は再稼働を押し切ろうという本音が見えたのではないでしょうか。
同意を求める立場にある原電が許すことができない傲慢な態度を示しました。改めて原電の発言と事前了解権の効力について、見解を伺うものです。

(4)市長が再稼働に反対表明を
10月14日、再稼働に反対表明した那珂市の海野徹市長は、「住民アンケートで再稼働反対が多数だったから」と述べています。その後、城里町長や石岡市長も反対表明するなど、その輪が広がっています。
私達水戸市議会も、再稼働に反対する意見書を可決し、国と県に提出したばかりです。県内市町村議会の77%で、再稼働反対などの意見書が可決され、NHK世論調査でも県民の76%が再稼働反対です。
これだけの問題点が明らかになった以上、県都の首長としてとるべき選択肢はただ一つ。再稼働に反対を表明する以外にありません。お答えください。

<答弁:高橋市長>
日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問にお答えをいたします。
① 新規制基準と運転延長の適合判断について
はじめに,新規制基準と運転延長の適合判断についてお答えをいたします。
11月7日に,東海第二発電所の運転期間延長認可の審査が終了したことで,9月26日の原子炉設置変更許可,10月18日の工事計画認可とあわせて,東海第二発電所の安全対策の方針が取りまとまったものと認識しております。
しかしながら,東海第二発電所の再稼働につきましては,事業者である日本原電から,再稼働するとも・しないとも,何ら説明は受けていない状況であります。
11月9日及び24日に開催された原子力所在地域首長懇談会において,日本原電に確認したところ,「現在,原子力規制委員会の許認可の結果を,対策工事に反映させることについて検討している段階で,その先については申し上げる段階にない。」とのことでありました。
当然,施設の安全対策として,防潮堤の整備などにつきましては,しっかりと取り組むべきでありますが,一方で,再稼働に係わる工事がなし崩しに始まるようなことは,あってはならないと考えております。改めて,24日にも日本原電に対して,工事を始める前には,方針を示すべきであると伝えたところであります。

② 「拒否権なんて言葉は新協定のどこにもない」との発言について
また,11月7日の日本原電 和智(わち)副社長の記者会見における「拒否権なんて言葉は新協定のどこにもない。」との発言につきましては,大変遺憾であります。
11月9日に開催された原子力所在地域首長懇談会において,「1つの自治体でも了解しなければ,協議は先に進まない。」という,これまでの認識を,改めて6市村で共有するとともに,日本原電に対して,副社長の発言の撤回と謝罪を求めたところでございます。
私どもの申入れを受け,24日に副社長から発言の撤回と謝罪がありましたが,現時点においては,これをもって,信頼関係が修復されたとは考えておりません。

③ 広域避難計画について
次に,広域避難計画についてお答えいたします。
広域避難につきましては,平成28年8月に,茨城県内の避難先として県から示されているつくば市や古河市などの9自治体と協定を締結しており,現在,県外の避難先の確保に重点的に取り組んでいるところでございます。
今年,2月に群馬県内の8自治体,5月に栃木県内の6自治体,10月には千葉県内の6自治体と初動時における避難所への誘導,避難所の開設,運営等に御協力いただくことなど,広域避難に関する基本的な事項について合意が図られ協定を締結したところでございます。
年内中を目指している埼玉県との協定締結により,全水戸市民の避難先を確保することができ,今後,平成28年7月に策定した「水戸市広域避難計画 骨子」に避難先などの項目を加え,骨子から計画へと改定する予定でございます。
課題といたしましては,国や県と連携し,避難退域時検査や安定ヨウ素剤配布の手順や場所,複合災害への備えをはじめ,避難車両の確保,避難ルートの設定,要配慮者の対応などがありますことから,今後とも対応策を積み上げ,広域避難計画の実効性を高めてまいります。

④ 再稼働について
再稼働の議論につきましては,全ての市民の安全な避難に向けた実効性のある広域避難計画が策定されない限りは,有り得ないものであります。
その上で,私は,市民の安全で安心できる暮らしを守っていく使命がありますので,議会の御意見を踏まえるとともに,「水戸市原子力防災対策会議」における技術的・専門的な御意見や多くの市民の声を十分考慮しながら,判断をしてまいります。

<田中議員>
2.新市民会館計画について
次に、水戸市の新市民会館計画について質問します。
320億円の巨額の税金投入や、2000名の大きすぎるホール計画、最大3700人収容なのに十分な駐車場も確保されないことに加え、再開発法による手続きを無視したやり方にも批判が高まっています。

(1)権利変換計画について
とくに、この間の新市民会館の特別委員会で問題となってきたのが、権利変換計画の内容です。水戸市はこれまで「再開発で建設される建物について、新市民会館部分はすべて市が取得する」と説明してきました。それが10月11日の特別委員会ではじめて、一部の地権者に対し、市が将来にわたって賃借するという計画を示しました。
「莫大な税金を投入してつくる市民会館なのに、なぜ市が賃料を払わなければならないのか。あきれてものがいえない」と意見が寄せられています。
このような重大な変更について、市議会に全く説明せず、12月中旬に県に権利変換計画を出すという直前に示したのです。この議会軽視にはまったく同意できません。なぜ、そんなやり方に変更したのか、お答えください。
このままいけば、新市民会館の床は、市の権利部分と個人地権者の権利部分にわかれます。地権者の割合は全体の2.5%、4億5000万円に相当するとのことですが、市が払う家賃は年間数千万円単位とみこまれます。買い取る場合の4億5000万円を10年たらずで賃料が上回り、延々と払い続けることになります。
家賃が一体いくらで、いつまで払うのか、市は会館オープン後の運営費やランニングコストもまったく明らかにしておりません。責任をもって市民にハッキリしめす考えはありませんか。お答えください。
特別委員会では、地権者の代替わりによる相続や、所有権が移るリスクも指摘されました。市の答えは「地権者が、売買、譲渡等の意向をしめした際に、市が買い取りの優先交渉ができる特約事項を検討する」としています。
しかし、誰と交渉し誰に権利を譲るのか、これはあくまで地権者にゆだねられるものであり、特約はなんの歯止めにもなりません。
さらに、明確に反対表明し、市との交渉を絶っている地権者を、商業床を希望する地権者としてカウントしていることも判明しましたが、そんな勝手なことが許されるのでしょうか。
再開発法は、権利変換計画をつくるため、地権者全員の資産を把握する土地と物件の調書作成を義務付けています。当然、現地調査や調査結果への地権者の了解が必要ですが、1日かけて調査された地権者がいる一方で、全く調査されていない地権者や借家権者もおり「まともな調査をしているのか」という声が出されています。いずれにしても、市が現在進めている権利変換計画は成り立たない計画です。計画が知事に認可され、権利変換処分をへて権利変換期日がくれば、賛否に関わらず、強制的に所有権が地権者から再開発組合に移るものです。権利変換計画の撤回と県への認可申請の中止を求めますが答弁下さい。

(2)用地の先買い問題について
泉町1丁目北地区再開発では、再開発法を無視した、強引な用地の事前買収が行われてきたとして11月15日、計画の白紙撤回を求める市民の会の方々から住民監査請求が提出されました。その内容は、水戸市が事前買収の資金として再開発組合に支出した昨年度の4億6525万3200万円と、今年度予算の44億7750万円の支出の差し止めを求めたものです。
再開発では、事業計画の認可・公告の後にはじめて、土地や物件の調書を作成し、権利変換や売買の基本とすることが定まっています。認可や公告前の事前買収は、再開発法が定める一連の手続きを踏んでいないものです。
ちなみに徳島市の新町西地区再開発事業は、これらの手続きのさなか権利変換計画が不認可となり、計画そのものが白紙撤回されました。
水戸市の過去の再開発でも例のない事前買収は、監査請求が指摘するように、法に逸脱するものと考えますがいかがでしょうか。
しかも、事前買収におうじた地権者は、通常の公共事業への協力なら受けられる5000万円までの譲渡所得控除を受けられません。公共施設をつくる計画で同じ再開発区域内にいながら、約2000万円も税金を払う人と、払わなくてもよい人が出てしまう、こんな不公平を生んでいのか、見解を伺います。

(3)今回の大幅増額補正予算について 
次々と問題点が指摘されていますが、本定例会には再開発補助金を13億7440万円もつみましする予算が出されました。再開発事業補助金が12億900万円、公共施設管理者負担金が1億6540万円も増額です。
解体工事や本体工事の予算といいますが、反対地権者もいるなか、工事着手は許されません。権利変換計画が確定もしていない段階で工事は発注できず、すでに当初予算で組まれた巨額の予算も年度繰越となることはあきらかです。
市民のくらしの予算は抑えながら、巨大な市民会館の再開発予算は特別あつかいでどんどん増額、こんな税金の使い方は認められません。補正予算の撤回を求め、第一回の質問を終わります。
答弁によりましては再質問いたします。

<答弁:高橋市長>
2.新市民会館計画について
①権利変換計画について
権利変換計画についてのご質問にお答えいたします。
新市民会館につきましては,水戸芸術館と連携した芸術文化の拠点として,また,中心市街地活性化の中核施設として,議会にご協議を重ねながら,1日も早い完成を目指し,市街地再開発組合と共に,事業進捗にあたってまいりました。
そして,市街地再開発事業における新市民会館の保留床については,その全てを市が取得する方針のもとに事業を進めてきたところであります。
しかしながら,今般,権利変換計画の策定を進める中,生活再建等のために,新市民会館の一部に権利変換を強く要望される地権者がおられ,これらの方と本市が,新市民会館の床を共有する権利変換について,苦渋の決断の元,議会特別委員会へご報告をさせていただいたところであります。
次に,本市と地権者が,新市民会館の床を共有することへの対応についてお答えいたします。私は,特別委員会での,将来の水戸を展望した適格なご意見を真摯に受け止め,対応してまいりたいと考えております。
すなわち,本市が,新市民会館を使用していく上で,過度な市民負担とならないこと,さらに,運営に支障を来さないこと,この点を十分に踏まえ,将来を見据えた契約のあり方が重要であると,改めて認識しております。
したがいまして,本市が,新市民会館を専用使用し,共有者が新市民会館の使用収益権を行使しない対価として,共有者の持分に応じて家賃相当額の金銭を支払う契約を締結するとともに,共有者との合意を踏まえて,反社会的勢力への転売,抵当権の設定や複数の相続人によるトラブルなどを回避するための特約条項を規定することにより,新市民会館の運営に支障がないよう,共有者と交渉してまいります。
なお,ご心配されている家賃相当額につきましては,現在,資産評価等を踏まえて,額を算出しているところであり,適正な額で契約してまいります。内容がまとまり次第,契約内容と合わせて,特別委員会へご説明してまいります。また,本市としましては,今後とも,共有持ち分の買い取りについて,共有者と交渉していくことに変わりありません。
次に,権利変換計画の申請の中止や増額補正の使途など,スケジュールに関するご質問でございますが,現在,事業の段階としては,12月3日付けで,県知事から,事業計画の変更が認可されたところであります。
今後,組合では,権利変換計画の認可に向けた手続きを進め,さらには,今議会へ補正予算を提案させていただいておりますとおり,年度内の,解体工事や施設建築物工事の契約締結を目指していく考えと伺っており,2022年9月の新市民会館オープンに向け,市としてもしっかり対応していきたいと考えております。
今後も,市街地再開発組合と連携を図るとともに,特別委員会でのご意見を尊重しながら,新市民会館の早期整備に向け,全力で取り組んでまいります。

<答弁:都市計画部長>
① 権利変換計画について
権利変換計画についてお答えいたします。
新市民会館の権利の一部を,地権者から賃借することになった理由でございますが,11月21日開催の特別委員会においてご説明させていただきましたとおり,本市は,これまで,一貫して,新市民会館の全ての所有権の取得を目指してまいりましたが,事業推進のため,各地権者の意向を踏まえる必要があり,新市民会館の一部に地権者が権利変換し,本市が賃借することについて,やむを得ないと判断したものでございます。
次に,未だ事業にご理解をいただいていない地権者の方が,商業床へ権利変換することとしている理由でございますが,市街地再開発事業におきましては,従前の権利は,従後の建物の一部に権利変換されることを基本としており,地権者は,事業認可後の申出期間内に「権利変換を希望しない旨の申出」をできることとなっておりますが,ご質問の地権者につきましては,申出がされなかったことを踏まえ,法令に従い従前の環境等を勘案し,商業床へ権利変換する予定としております。
事業にご理解をいただけるよう引き続き丁寧に説明してまいります。

② 用地の事前買収について
続きまして,用地の事前買収に関するご質問にお答えいたします。地権者の中には,生活再建に向けて,一日も早い補償金の支払いを希望される場合もあることから,意向に沿った現実的な対応として,市街地再開発組合が事前に任意買収を行ったものであり,都市再開発法に基づかない任意の買収であることから,都市再開発法上の問題は生じないと考えております。
なお,都市計画事業の認可前の任意買収に国費を充てることにつきましては,国の通知に基づく適切な対応と考えております。
また,譲渡所得の特別控除についてでございますが,第一種市街地再開発事業において,租税特別措置法により,「やむを得ない事情」に該当する場合にのみ,転出者に対する5,000万円特別控除が適用されるものとされております。具体的には,居住されている方がご高齢の場合や,危険物を取り扱う業種の方の場合などであり,事前買収を行った方々については,いずれも租税特別措置法上の「やむを得ない事情」に該当しない可能性が高いと判断できる状況にあったもので,組合が慎重かつ公平性を保ちながら対応していると考えております。

③ 増額補正予算について
最後に,増額補正予算についてでございますが,組合では,権利変換手続を経たのち,年度内に現存建築物の解体及び建築工事の契約締結を目指していることから,解体費及び建築工事費の一部に対する補助金及び公共施設管理者負担金として補正予算を上程したものであります。
2022年9月の新市民会館のオープンに向け,スケジュールが遅れないよう,しっかり対応してまいります。
以上 よろしくお願いいたします。