<田中まさき議員の質問>

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6.原子力行政

(1)東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求めることについて

次に原子力災害における東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求めることについて質問します。この間の報道によれば、水戸市を含む11市町村と日本原電は3月5日、「東海第二発電所の安全確保に関する覚書」を締結しました。覚書締結からわずか2日後の3月7日、日本原電は県に対し、国への安全審査申請の準備状況を説明し、今月中に水戸市を含む市町村にも説明するとされています。
○安全審査の申請に反対を
そこで第一に、日本原電の安全審査の申請は、再稼働への明確な一歩であり、市長が申請に反対を表明することを強く求めるものです。覚書には「再稼働に直結しない」とありますが、8日の新聞各紙でも「再稼働に向けた安全審査の申請」と報道されており、これでも市長は再稼働と一体のものと考えないのか伺います。
日本原電は、2月10日の日本共産党議員団の申し入れに対し「安全審査の申請は再稼働に向けたステップだ」と認めています。
○原子力安全協定の枠組み拡大を
市長が座長を務める首長懇話会が求めてきたのは、再稼働の事前了承権限を周辺自治体に拡大する安全協定の見直しでした。これを行わず、覚書によって再稼働につながる安全審査申請を容認することは認められません。今市長が行うべきは、すべての市町村長と結束して、原子力安全協定の枠組みを拡大することです。
○新規制基準を適正と考えるのか
安倍政権は原発ゼロを求める多数の国民世論を無視して、エネルギー基本計画で「原子力規制委員会が安全審査で新規制基準に適合していると認めた原発は再稼働をすすめる」と明記しました。しかし福島原発の地震や津波による破壊の程度も不明、事故原因も究明されておらず、汚染水は際限なく漏れ出しています。そういうもとでつくられた新規制基準は再稼働のための新たな安全神話をつくるずさんなものと考えますが、市長は新規制基準が適正と考えているのか伺います。
○東海第2原発の再稼働反対の表明を求める
国や日本原電の姿勢は、30万人を超える知事あての東海第2原発の廃炉を求める署名や、毎週金曜の脱原発行動など、県民多数の民意に背くものです。市長はこれまで、東海第2原発の再稼働反対表明を私達が求めても「厳しい判断をしていく」と述べるにとどまり、明快な判断を示していません。そういう態度ではなし崩し的な再稼働を容認する道です。東海第2原発について、市長がはっきりと再稼働ノーの意思表示をすることを求めますが答弁ねがいます。
○国の原発依存のエネルギー基本計画にノーを
また、安倍政権はエネルギー基本計画で、原発をコストが低廉で安定供給できるベースロード電源と位置づけ、原発継続・恒久化を打ち出しましたが、事故処理や核のゴミ処理費用など究極の高コストであり、事故を起こしたら大電力が一気になくなる最悪の不安定電源です。国に対し原発依存のエネルギー計画撤回をもとめ、原発ゼロ、再生可能エネルギー推進に切り替えるよう求める考えはないか、伺います。

(2)茨城県広域避難計画について

○水戸市民の避難先自治体と受け入れ体制について
次に、原子力災害における茨城県の広域避難計画と水戸市の策定状況を伺います。
昨年、県が示した避難計画のたたき台では、水戸市民27万人はつくば市に4万人、土浦市に2万人など、9市3町に分散して避難するとしていますが、各自治体に受け入れ施設はあるのか伺います。
○避難ルートについて
また避難ルートは、常磐自動車道で小美玉・土浦北・桜土浦インターを経由して避難となっていますが、地震による道路や橋の寸断は想定されていません。大震災で深刻だった渋滞予測も不明であり実効性があるのでしょうか。
○災害時要援護者対策やヨウ素剤配布について
3・11の際、ある市内の老健施設では、入所者を庭に移動するだけで2時間かかりました。市内の医療機関と福祉施設は260箇所、約1万5千人が入所していますが、災害時要援護者の避難を職員やボランティアまかせにしていては命を守れません。移送先や移送手段、ヨウ素材配布やスクリーニングの体制など検討状況もお答えください。
○段階的避難について
国は原発から5キロ圏内の住民を優先して避難させ、30キロ圏内の住民はそれが済むのを待つ段階的避難を求めていますが、市長はそれを市民に求められるでしょうか。国は避難計画を市町村にまかせ、その有無は再稼働の条件にしておらず、形式を整えて再稼働を急ぎたいとの意図が明らかです。市長は少なくとも避難計画もないままの安全審査や再稼働を認めないよう国に求めるべきです。
福島原発事故の影響でいまだ14万人もの方がふるさとを奪われたままです。福島の震災関連死は1671人(3/7現在)にのぼっています。東海第2原発は半径30キロに100万人、過酷事故が起きれば県まるごと社会経済活動は崩壊します。この点からも再稼働は認められないと市長が表明することを強く求めますがいかがでしょうか。

<高橋市長の答弁>

次に,原子力行政についての御質問にお答えいたします。
○日本原電との覚書について
「県央地域首長懇話会」としての日本原電との覚書につきましては,国の安全審査等による発電所の新規制基準に係る適否の結果に基づいて,茨城県や地元自治体に発電所の今後に係る判断を求める時の前までに,原子力安全協定等の見直しをするものとして,要求事項の実現に向けた当面の対応により締結したものであり,日本原電に対し,一定のハードルを設けることができ,住民の安全・安心の確保に向けて前進したと考えております。
今後も,引き続き,県央地域首長懇話会の構成市町村と連携して,日本原電に対し,原子力安全協定の枠組みの拡大や協定内容の見直しを強く求めてまいります。
○安全審査の申請について
安全審査は,原子力規制委員会において科学的に原子力施設の安全性を審査するものでありますが,今回の覚書において,発電所の再稼働に直結するものでないことを,相互に確認しております。安全審査の申請前には,その申請内容等について,日本原電は,構成自治体に対して,丁寧に説明するとともに,地域住民の安全性向上の観点から意見を求めるものとし,その意見に対し,真摯に対応することも覚書にしっかりと盛り込んでおります。
○新規制基準について
また,原子力規制委員会が平成25年7月8日に定めた新規制基準につきましては,福島第一原発の事故の反省を踏まえ,専門の有識者により,国際的な知見を取り入れた世界でも厳しい基準であると認識しております。
○東海第二発電所の再稼働について
東海第二発電所の再稼働につきましては,原子力規制委員会の新規制基準などを踏まえ,万全な安全性が確保されること及び広域避難計画が策定されることが大前提であり,そのうえで,市民の安心で安全な暮らしを守っていく立場から,多くの市民の声を十分考慮しながら,厳しく判断をしていかなければならないと考えております。
○国のエネルギー基本計画について
国の新エネルギー基本計画につきましては,政府原案の段階ではありますが,国が責任を持って,自然エネルギーや再生可能エネルギーの活用を十分検討し,実効性のあるエネルギー政策を実行していくべきものと考えております。
○広域避難計画について
次に,茨城県の広域避難計画につきましては,避難方法・避難先の確保,避難ルートの選定などの住民避難体制,災害時要援護者の支援体制,安定ヨウ素剤の配布・服用などについて,県内市町村,警察,防災関係機関と協議・検討を重ね,できるだけ早い時期の策定を目指しているところであります。
避難先や避難ルートにつきましては,茨城県において,UPZ(緊急時防護措置を準備する区域)30km圏外への避難を基本として,県内の市町村と避難者の受入れ等について調整を図っているところであり,この調整が,広域避難計画における最も重要な課題となっております。調整後は,改めて避難シミュレーションを行い,交通渋滞や避難時間などを検証することが必要であると考えておりますので,県に対して,その実施を求めてまいります。
○災害時要援護者について
本市の災害時要援護者等の施設につきましては,平成25年5月現在で,病院等が51施設3,881人,社会福祉施設が213施設10,897人,幼稚園を含んだ学校等が113施設42,686人となっております。
また,各施設の避難計画は,県及び市の地域防災計画に基づき,施設管理者が作成するものでありますが,県の広域避難計画に定める全体的な構想が個別の避難計画の策定につながることから,まずは,実効性のある県の広域避難計画の策定に向けて,県の勉強会において議論を深めてまいります。

<田中議員の再質問>

それぞれ答弁いただきましたが、東海第二原発の廃炉の問題について再質問いたします。
市長の使命と日本原電の使命についてお聞きしたい。市長の使命はいうまでもなく市民の命と安全を守ることです。先ほど「新規制基準は国際的にも厳しいものだ」と答弁がありましたが、3月9日の茨城新聞の論説でも、地震動や防潮堤の高さについて、福島原発を襲った地震と津波のレベルに備えればいいという根拠はない、と指摘しています。
老朽原発の一会社の経営のために、市民のくらしや自治体を危険にさらしていいのか、破綻させるわけにはいかないと思いますがいかがでしょうか。
電力不足は起きておりません。日本原電の使命は、福島原発汚染水対策への援助や、原発廃炉技術の研究にこそ果たすべき役割があると考えますが、市長がどう考えるかお答え下さい。先ほどの答弁では安全審査の申請について、市長が認めるのか認めないのか回答がありませんでした。これは再稼働に向けた一歩でありハッキリ反対していただきたい。そして、再稼働反対を明確に表明することを再度求めて質問を終わります。