日本共産党水戸市議団の田中まさきです。2011年12月定例会にあたり、通告に従い代表質問を行います。

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1.来年度予算編成について

はじめに来年度予算編成について質問します。日本共産党水戸市議団は11月15日、高橋市長に対し、来年度予算に関する150項目の要望書を提出しました。市民アンケートに寄せられた切実な要望を反映したものです。
震災復興や原発事故に伴う放射能汚染対策、中学卒業までの医療費無料化や介護・後期高齢者医療保険料の値上げを行わないよう求めました。これらを来年度予算編成に反映し実現を求めますが、市長の所見を伺います。

<答弁 高橋市長 来年度予算編成について>

日本共産党水戸市議団を代表されましての田中議員の御質問にお答えいたします。
はじめに,平成24年度予算編成につきましては,東日本大震災及び世界的な金融経済危機という厳しい社会経済情勢のなかではありますが,すべての市民が安心して豊かな生活を送ることのできる快適空間づくりと未来に躍動する先進都市の実現に向け,5つ項目を基本的な方針として掲げ編成作業を進めております。
まず,第1に「大震災からの復旧・復興に向けた取組みの推進」を最優先の課題と位置付け,見和市民センターなど公共施設の復旧や,農産物の風評被害対策を推進するとともに,再度の災害に備えて地域における防災機能の強化や防災意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。
第2に,「安心して暮らすことのできる快適空間づくり」といたしまして,民間保育所の整備補助を行い待機児童対策に取組むほか,高齢者の健康づくりのため新たにシルバーリハビリ体操を実施するなど,福祉施策を推進してまいります。また,小・中・幼の耐震化を平成26年度末までに完了すべく耐震補強を推進するとともに,習熟度別学習など児童・生徒の学力向上に資する新たな取組みによる水戸らしい教育の充実を推進してまいります。また,都市下水路及び排水路などの浸水被害対策に重点的に取組むほか,道路・下水道などの都市基盤の整備を引き続き推進してまいります。
第3に「水戸の魅力の発信による経済の活性化」といたしまして,シティセールスマガジンの発行やインターネットを活用した動画の配信など,まちの魅力を広く県内外に発信するとともに,マスコットキャラクターの作成や観光資源の創出など,水戸のイメージアップと観光振興を新たな手法により図ってまいります。また,中心市街地においては,交流拠点の形成に向けて大工町1丁目地区市街地再開発事業の支援をはじめ,賑わいを創出するため新たにまちづくりコンペ事業や学生のアイディアを活用した活性化事業などに取組んでまいりたいと考えております。
第4に,「市民と行政との協働によるまちづくり」といたしまして,市民活動団体の情報を市民に向け広く発信する機会として,新たに(仮称)市民活動交流フェアを実施してまいりたいと考えております。
第5に以上のような施策に取組むにあたっては,「中期的財政見通しを視野に入れた財政構造の健全化」といたしまして,既存事務事業の徹底した見直しを行いながら限られた財源の重点配分を図るとともに,市税徴収率の向上や職員定数の削減,市債残高の抑制による公債費の縮減など,行財政改革にも積極的に取り組み,中長期的視野に立った規律ある財政運営を基本としてまいります。

2.震災復興、生活支援対策について

次に、震災復興のための生活支援策について質問します。震災から9カ月過ぎてもなお、復旧には時間がかかり、多くの出費を伴うため、家の修繕もままならない市民も多いのが実情です。

①り災調査の現状と見舞金など支給状況は

これまで被災者に対するすみやかな罹災調査を求めてきましたが、判定実績とあわせ、一部損壊から半壊に変わる方の再判定はもれなく実施されているのか伺います。半壊以上の被災棟数は11月末で3458棟です。
一方、災害見舞金や被災者生活再建支援金などの支給は1818件です。受給要件を満たしている方は、もれなく支給されているのか、未支給世帯がある場合はすみやかな支給を求めますが、実情を伺います。

②一部損壊に住宅修繕費補助をー社会資本整備総合交付金の活用で。

被災家屋の88%、2万4850件は一部損壊で、支援金や見舞金を受けられません。そこで、私たちが繰り返し提案している一部損壊への修繕費補助の実施を求めます。財源として国の「社会資本整備総合交付金」を活用することです。
日本共産党水戸市議団が塩川鉄也衆議院議員らと10月12日、政府交渉した際、水戸市の都市計画部長を以前つとめた、脇山芳和氏が、国土交通省・住宅総合整備課の企画専門官として応対され、『社会資本整備総合交付金は、自治体独自の住宅修繕事業などに活用できる。予算はまだまだ余裕があり、積極的に活用してほしい。自治体への働きかけをお願いしたい。』と回答されました。県内では6自治体が交付金を活用し、常陸太田市は上限20万円、日立市は住宅の上限10万円に加え、店舗解体に上限50万円、仮設店舗の賃借料にも上限150万円の補助をしています。
また県は、一部損壊も含め被災者が住宅復旧・補修のため金融機関から借り入れる場合、1%の利子補給を行う支援を新たに発表しました。対象とする融資限度額は640万、液状化の場合は1030万であり、市が積極的に取り組むことを求めます。

<答弁 高橋市長 震災復興のための生活支援策について>

次に,一部損壊への住宅修繕費補助についてでございますが,この度の東日本大震災で水戸市内においても多くの住宅が被害を受けており,国の被災者生活再建支援制度や水戸市の見舞金制度,さらには義援金の配分などで,より大きな被害を受けました半壊以上の世帯を対象に支援しているところでございます。
一部破損の世帯の方は,その損害の程度に応じた修繕費を自ら負担することとなりますので,公的な支援制度として独立行政法人住宅金融支援機構の災害住宅復興住宅融資制度などのご利用をご案内しております。
議員ご提案の「社会資本整備総合交付金」につきましては,活用できるかどうかなど制度上の課題を整理してまいりたいと考えておりますが,一部破損の世帯を対象とする住宅修繕費補助の市独自制度を創設することは,きわめて厳しい財政状況にあるため困難と考えております。ご理解をいただきたいと思います。

3.原発事故による放射能被害対策について

次に、原発事故による放射能被害対策について伺います。

①放射能測定拡充と市民への検査機器の貸し出し実施を

第一に、放射能測定の拡充です。多くの市民が放射能汚染に不安をもち、ホットスポットがあれば直ちに除染してほしいと願っています。セシウムの半減期は30年でありより詳細でかつ息の長い取り組みが求められます。
これまでの小中学校、公園などでの測定に加え、通学路や側溝、調整池など測定箇所を増やし、きめ細かな測定と公表を求めます。市職員による空間線量の訪問測定調査は1カ月待ちとのことであり、測定器を増やし、市民への無料貸し出しも行うことを求めます。

②保育園、幼稚園、小中学校、市民センターへ測定器を配備すること

さらに、保育所、幼稚園、小中学校、市民センターにも測定器を常備することです。茨城町は40台購入し、10台は希望する住民に貸し出し、30台は幼稚園、保育所、学校に配備していつでも測れるようになります。
また除染について、水戸市の基準を国の年間1ミリシーベルトより厳しいものとし、学校など公共施設で必要な機材や洗浄機をそろえることを求めますが、除染基準や対応方針をお答えください。

③給食食材の検査体制の拡充を

先日、日本共産党水戸市議団で、水戸市学校給食共同調理場での給食食材のサンプル検査を見学しました。毎日2~5品目で、1検体10分かかるということでした。自校方式の食材は生産者や学校関係者が届けていますが検査器1台ですべての学校を毎日検査するのは不可能です。そこで自校方式の学校にも検査器の配備を求めます。市は1㎏当たり200ベクレル以上検出した食材は使用しないとしていますが、先日文科省が40ベクレルを目安として発表しており、より厳しい基準にすべきと考えますが方針をお答え下さい。また保育所の給食食材検査はどう行われ、結果はどうなっているのか、同じく体制拡充を求めますがいかがでしょうか。

④農産物の検査体制の拡充を

市内農産物の検査は、赤塚のJA会館に設置された1台の検査器で行われています。より多くの品目を継続して検査するため直売所ごとに検査機器を配備することを求めます。今後、販売農家の希望による検査をするとしていますが、家庭菜園の野菜なども測れるようにすべきと考えます。
土壌のサンプル検査は旧村単位で1カ所であり、より詳細な検査を求めますが答弁願います。

⑤東電の賠償について

次に東京電力の賠償請求についてです。私は10月17日、日本共産党の茨城県内議員団とともに、東電茨城支店にすみやかな全面賠償を要請してきました。9月30日現在の全県での仮払い率は、農畜産物25.1%、水産物49.1%、水産加工品は0%と遅れており、未払い額は236億円にのぼっておりました。応対した東電の茨城補償相談センターの鎌田俊和副所長は、「10月から本払いを開始する」と答えましたが、市は賠償の支払い状況をつかんでいるのか伺います。
また、市の測定や除染など原発事故に関連する費用は累計でいくらなのか。東電に請求すべきですが、お答え下さい。

<答弁 高橋市長 原発事故による放射能被害対策について>

次に,放射能測定拡充と市民への検査機器の貸出しについて,お答えいたします。
空間放射線量の測定につきましては,小学校,中学校,幼稚園,保育所,公園などの子供たちが日常使用する場所の定期測定に加え,12月から,個人宅や事業所の訪問測定調査を実施しているところでございます。
未だに,福島第一原子力発電所の事故に伴う放射能問題は,市民の皆様に不安を抱かせている現状にあると認識しております。
市民の方のさらなる不安軽減のため,日常使用する空間を優先に測定調査の拡大に努めてまいります。
また,測定器の貸出しにつきましては,個人宅等の訪問調査を開始するにあたり検討させていただきました。測定値をお知らせするだけでなく,水戸市の現状,国の基準,効果的な低減策などを市民の方に直接ご説明することが,不安軽減につながるものと考え,訪問測定調査を実施することといたしました。

次に,保育所・幼稚園・小中学校・市民センターへの検査機器の配備について,お答えいたします。各施設の空間放射線量につきましては,放射線に関する専門的な知識を有する職員が,定期的な測定を継続してまいりますので,議員ご提案の各施設における測定器の配備につきましては,今後の状況の変化や測定状況を踏まえ,検討してまいります
また,除染につきましては,国の基準を目安として考えておりますが,学校など子どもたちが日常使用する空間においては,周囲より高い傾向があれば,土を取り除くことや洗い流すことなど,状況に応じた低減策を積極的に講じてまいります。洗浄機などの資機材の配備につきましても,測定状況を踏まえ,検討してまいります。

次に,給食食材の検査体制の拡充についてお答えいたします。
学校給食に使用する食材の放射性物質の測定につきましては,学校給食共同調理場に設置した測定器により毎日実施し,結果を市ホームページで公表することにより,安全安心な給食の提供に努めているところです。
10月17日に測定を開始し,これまで,食材単品の測定に加え,献立丸ごとの測定も実施するなど,測定対象の拡充を図ってまいりましたが,議員御提案の,各学校への検査機器の配備につきましては,今後の利用推移を見極め,検討してまいります。
また,保育所における給食食材の放射性物質の測定につきましては,公立保育所及び意向調査により希望した民間保育所の食材単品の測定を,農政課が設置した測定器により計画的に実施し,測定した食材とその結果を市のホームページで公表しております。
現在,本事業の実施に当たりましては,放射性セシウムが200ベクレルを超えた場合は,念のため精密検査を行い,検査結果が出るまでの間,当該食材を使用する献立を変更又は中止することとしております。
この判断基準につきましては,農林水産省が実施した米の放射性物質調査の際に示した,「予備調査の結果,200ベクレルを超えた場合は,重点的に本調査を行う」との考え方に準じて設定したものです。
なお,文部科学省が示した「40ベクレル」は,検査機器選定の際の性能の目安として示されたものであり,放射性物質の基準を設定したものではないとの大臣発表がありましたが,現在,厚生労働省において,暫定規制値の見直しが進められていることから,本市といたしましても,引き続き,国の動向を注視しながら適切に対応してまいります。
次に,農産物の検査体制の充実についてでございますが,本市が独自に購入した検査器により,10月17日から12月9日まで368検体にのぼる,野菜や果物,土壌の検査を実施してまいりました。
今後は,販売時期を迎えた野菜や果物について,サンプリング検査を継続して実施するとともに,出荷団体や生産者からの依頼による検査などを進めてまいりますが,各直売所への検査機器の配備につきましては,現在の体制で十分検査ができると考えておりますので,引き続き,この体制を継続して参りたいと考えております。
また,家庭菜園などの自家栽培の野菜の検査につきましては,検査機器の利用状況を見ながら,今後検討してまいりたいと考えております。

次に,市内の土壌検査につきましては,放射性物質の分布状況の概要を把握するため,11月下旬に旧村単位の市内18地区において,水田と畑の土壌のサンプリング検査を行いましたが,その結果は,県における土壌調査の結果と大きな差異は見られませんでした。
このため,放射性物質検査の対象は農産物を中心に行うこととし,土壌については今後,同一箇所による定期的な検査の継続により,放射性物質の推移を把握してまいります。
次に,東京電力への賠償請求にお答えいたします。
東京電力福島第一原子力発電所の事故に起因する放射能による,水戸市内の農畜産物の損害賠償の状況についてでございますが,市が把握しておりますJA水戸などの東京電力への賠償請求額は,11月末現在,約3億4千5百万円となっております。また,これに対し,これまでに支払われた賠償額は,約2億7千3百万円であり,請求に対する支払い率は,約79%となっております。

なお,水産物及び水産加工品につきましては,水戸市内に該当するものは,現在のところはございません。
また,水戸市においても,放射能対策のため,放射線測定器購入などの費用が生じており,これまでに放射能対策に要した経費を集計しているところであります。現在のところ,国及び東京電力からは,地方自治体への補償に関してなんら方針等は示されておりませんが,私は,被災者の救済及び生活再建のために,現に被害を被っている個人,団体,企業への補償を優先すべきであると考えており,賠償金の支払い状況などの推移を見ながら検討してまいります。

4.原子力行政―東海第2原発廃炉と協定の見直し問題について

①茨城大学地域総合研究所の水戸市民アンケート結果について

次に、東海第二原子力発電所の廃炉を求め質問します。茨城大学地域総合研究所の水戸市民アンケートで、89%が「運転停止したまま廃炉」など再稼働に否定的であり、7割以上が「東海村の原子力施設が不安」と回答した結果について見解を伺います。市の1万人アンケートでも質問すべきでしたが、市民の意向調査をする考えはないか、お答え下さい。

②地震調査研究推進本部の茨城沖での巨大地震の発生予測について

すでに国の調査で、北茨城沖から鉾田沖まで10か所の大規模な断層が確認されてきましたが、文科省の地震調査研究推進本部は11月25日、東日本大震災の発生に伴い巨大地震の今後の発生確率を見直しました。
東海第2原発のある茨城県沖では、30年以内に最大M7.2規模の地震が90%以上の高い確率で起き、東日本大震災に匹敵する大津波が沿岸を襲うという、重大な危険性を政府が認めましたが市長の見解を伺います。

③原子力安全協定の改定要請について

11月25日の県央地域首長懇話会で、原子力安全協定の枠組みを見直す改定を知事に要請すると発表されましたが、県の回答を明らかにしてください。私も6月議会で権限強化を求めたところであり見直しは当然です。
中身は、東海第二発電所の運転再開に対し、水戸市が十分な情報提供を受けられ、事前協議に参加し、賛成か反対の意見を述べるものと理解するものでありますが、どういう態度で臨む考えかお聞かせください。これまで日本原電は、定期点検後は事前協議もなく運転再開しており、日本原電にも直接申し入れる必要がありますが、その計画はないのか伺います。

④東海第2原発廃炉の要請を

高橋市長は9月議会で、江尻議員に対し「東海第2原発の再稼働は今回を上回る地震、津波に対しても万全であると確認されることが前提」と答弁しました。東海村の村上村長が「再稼働はやめ廃炉」を主張し、ひたちなか市長、かすみがうら市長などの相次ぐ原発からの撤退表明と比べ消極的で、基本的に再稼働容認に向けた姿勢は認められません。
原発から30㌔圏内は、事故発生時に避難など緊急対応をとる緊急防護措置区域(UPZ)と設定されましたが、人口は全国一多い100万人、水戸市民だけで26万人、昼間人口は約30万人であり避難は不可能ではないでしょうか。ひとたび事故がおきれば、放射能の拡散を止める術はなく、市役所や県庁も災害本部機能を失い、故郷をまるごと奪われる事態となります。事故を起こした福島第一原発4号炉と同じ1978年、33年前に運転開始した東海第2原発は老朽化している上、行き場のない使用済核燃料が2165体、ウラン換算で370トンもあり、貯蔵容器はあと2.3年分しか空きがなく、廃炉しか道はないのです。日本共産党議員団の政府交渉で、経済産業省原子力保安院は「再稼働は、周辺自治体の意見を聞いて判断する」と回答しました。周辺自治体の地域協議会が設置されますが、市長が市民の生命と財産を守る立場に立ち、廃炉を要請することを強く求めますが、廃炉を求めるのか求めないのか、明確にお答え下さい。

<答弁 高橋市長 原子力行政について>

次に,東海第二原子力発電所についてお答えいたします。
まず,茨城大学地域総合研究所が行ったアンケート結果につきましては,市民の方が今後の原子力発電所や原発事故に関し高い関心を持っていることを改め認識し,市民の方の貴重なご意見として受け止めております。
また,巨大地震の発生予測につきましては,この度の東日本大震災を教訓に考えますと,二度とこのような甚大な被害を発生させてはならず,どのように備えるべきか,身の引き締まる思いでございます。しかしながら,立ち止まることはできず,安全安心な水戸市を実現するため,市民の方の立場になり,与えられた課題ひとつひとつに立ち向かっていく決意でございます。
次に,原子力協定の取組みについてでございますが,県央地域における原子力安全確保等の協議を進めてきたところであり,先月25日に開催した懇話会におきまして,その対応方針の決定をみたものであります。
その一つが,原子力安全協定の見直しであり,協定の枠組みを県央地域構成市町村全体へ拡大し,一体的に取り組んでいくこととしたものであります。

あわせて,協定における関係市町村の権限の拡大として,事業所から報告又は連絡を受け,または,施設の新増設等に関し,県に意見を述べる新たな権限を設定するとともに,東海第二発電所から原則20キロメートルの範囲の市町村については,原子力施設所在エリアとして,所在自治体並みに権限を引き上げる方針等を決定いたしました。東海第二発電所の運転再開に関しましても,事前協議前に県に対し意見を述べる権限や,事前協議に参加できる権限を確保することとしたものであり,これらの方針の実現に向け,県央地域首長懇話会として,今月中に,県に対し要求してまいります。
今後とも,県央地域としての連携を一層強化し,地域防災計画や広域的避難計画の策定,構成市町村の連絡体制の整備など,一体的な原子力安全対策に,積極的に取り組んでまいる所存であります。
また,東海第二発電所運転再開に関しましては,これらの取組とあわせ,所在自治体である東海村の呼びかけにより,周辺の首長による懇談会が設置される予定であり,水戸市も積極的に参画し,原子力発電所の安全対策や防災対策も含め,意見交換や協議を進めてまいりたいと考えております。

私は,これまでも申し上げてまいりましたとおり,原子力発電所は安全が最優先であり,今後予定されております安全向上対策も含め,二重,三重の安全対策が講じられ,今回を上回る地震,津波に対しても万全であると確認されることが大前提となるものと考えております。
現在,国の対応方針も示されていない状況でありますが,今後,国や事業者において,どのような安全対策が講じられるのかなどを総合的に勘案し,安全確保を基本とした対応に努めてまいります。
また,原子力発電所等における事故発生時の避難区域の見直しにつきましては,東海第二発電所から30キロメートルでUPZが設定されますと,水戸市全域が含まれることとなり,今後,国の基本方針,茨城県の地域防災計画の修正にあわせ,本市の地域防災計画を修正する中で,全市民を対象とした実効性ある広域的避難計画を策定してまいります。

5.介護保険料の値上げ中止、第5期計画をすみやかに明らかにせよ

次に介護保険料の値上げ中止を求め質問します。1人当たり年間2万5200円から8万8200円を年金から天引きされ、私達のアンケートに「非常に高い」との声が寄せられています。昨年度末で市の介護給付費準備基金が2億5470万円、繰越金が2億3795万円あります。加えて6月15日の介護保険法改定により値上げを抑えるため県の安定化基金の3分の1をとりくずし、約5000万円が市に支給される見込みです。合計5億5000万円の財源を活用し、値上げを中止することです。
水戸市の保険料は所得別に7段階ですが、類似都市では低所得者に配慮し10段階などとなっています。市独自の保険料減免はわずか10件だけで不十分であり改善を求めます。
また、4月からはじまる第5期介護保険事業計画が、いまだ示されておらず、すみやかに明らかにすることを求めます。

<答弁 高橋市長 介護行政について>

次に,介護行政についてお答えいたします。
来年度からの介護保険料につきましては,現在,策定中の第5期高齢者保健福祉計画.介護保険事業計画をもとに決定することとなります。保険料の算定にあたりましては,第4期計画の最終年度である平成23年度の決算見込みの状況を踏まえながら,介護給付費準備基金や県の財政安定化基金を活用してまいります。
また,現在7段階としている保険料の所得段階につきましては,より被保険者の負担能力に応じた区分となるよう,見直し等も含めて検討してまいりたいと考えております。
なお,第5期事業計画の策定にあたりましては,高齢者保健福祉推進協議会等のご意見をいただきながら,パブリックコメントに諮ってまいります。

6.後期高齢者医療保険料は65億円の余剰金を活用し値上げ中止を

次に後期高齢者医療について、来年度が保険料改定の時期に当たります。震災後、医療費の伸びが3%で、昨年度の半分です。県広域連合には、後期高齢者医療給付費準備基金が24億601万円、剰余金21億7954万円、さらに茨城県の後期高齢者医療財政安定化基金に20億円で、合計65億円もの余剰金があります。市長が県広域連合と茨城県に対し、基金や剰余金の活用で値上げ中止を要請することを求めますが答弁願います。

<答弁 高橋市長 後期高齢者医療について>

次に,後期高齢者医療についてお答えいたします。
後期高齢者医療保険料につきましては,2年ごとに見直しを行なうこととされており,平成21年度の保険料算定時においては,国の保険料増加抑制の方針を受けて据え置きとしたところであります。
今回の保険料の見直しについては,現在,茨城県後期高齢者医療広域連合において,剰余金等の活用も含め,保険料率の算定作業を進めているところではありますが,私としましては,国の責任において,保険料増加の抑制を図るべきものであると考えております。

7.学校給食共同調理場の民間委託計画は撤回し直営維持を

次に、学校給食共同調理場の民間委託計画を撤回し、直営堅持を求め、以下5点にわたり問題点を質問します。
第一は食育についてです。学校給食法と食育基本法は、適切な栄養摂取による健康増進や食習慣を養うことだけでなく、食が多くの人に支えられていることへの理解を深め、勤労を重んずる態度を養うことを目標に掲げています。市の学校給食基本計画でも子ども達への栄養指導など食育を充実するとしていますが、民間委託はこれらの趣旨に反していると考えます。
毎日5200人分11校の給食を提供し、衛生管理の徹底で、40年間食中毒などの事故もなくがんばってきた共同調理場を評価し、子ども達に伝えることこそ食育ではないでしょうか。
第二は、建築後40年が経過し、施設が老朽化しており、ドライシステムの導入など改築こそ市が急いで行うことと考えますが答弁願います。
第三は、民間委託すると33人もの臨時職員の解雇につながりかねません。共同調理場調理員33人のうち、臨時職員22人が全員解雇され、正職員が異動することで単独校の臨時職員11人も解雇となり、再雇用の保障はありません。中には30年以上働いてきた臨時職員もいます。
第四は、職業安定法第44条に違反する偽装請負の問題です。労働局が是正勧告した埼玉県の鳩ケ谷市などあちこちで問題になっています。民間委託では、よりよい給食を提供しようとすればするほど、栄養士と委託業者の調理員との詳細な打ち合わせが必要となりますが、その場合、発注者である市が請負事業主の労働者を指揮・命令したことになり、偽装請負になってしまいます。偽装請負を避けようとすれば、指揮・命令ができず、味付けをはじめ、調理手順や衛生管理などを民間業者に丸投げすることとなり、学校給食に民間委託はそぐわないのであります。
第五に、民間委託を導入した土浦市やつくば市は東京の業者が請け負い、徹底した人件費削減が行われています。水戸市の調理員の時給は890円ですが、請負業者の取り分もあり、民間委託でより安い賃金となることは必至です。臨時職員の正職員化こそ行うべきであり、4年間で100名の定数を減らし人件費をカットするなど、市長の行革プラン達成のために子ども達の給食を犠牲にする民間委託は撤回を求めます。

<答弁 鯨岡教育長 教育行政について>

田中議員の代表質問のうち,教育行政についてお答えいたします。
学校給食共同調理場の民間委託計画については,水戸市の厳しい行財政環境の中,市民サービス,運営経費削減の検討を行い一定の効果が見込まれる事務事業の一つとして行財政改革プラン2010に位置づけられております。
民間委託につきましては,現行の直営により行われているものと同等の質の担保が見込まれるとともに,経費縮減をはじめ効率的な行政運営が図られることから,平成24年度からの導入に向け,関係機関と協議を進めているところです。
食育は,学級担任や栄養教諭,学校栄養職員をはじめとする給食従事者が中心となり学校教育活動全体を通じて行うものであります。学校給食の食育に果たす役割は民間委託によって損なわれることはないものと考えておりますが,委託業者に対し,学校給食の意義を十分理解しながら業務に当たるよう指導してまいります。
委託業者に対しては,事前に詳細な作業指示書を作成し,献立や作業手順等を管理責任者に指示することとしており,管理責任者を通した指揮命令系統の明確化を図ることにより,職業安定法に抵触することなく,円滑に業務を遂行できるものと考えております。
また,雇用枠から外れる臨時職員については,委託業者に対し勤務を希望する者の雇用を斡旋する等(最大限)の配慮をしてまいります。
なお,老朽化の進む学校給食共同調理場については,現在,改築計画を進めているところです。
改築に当たっては,環境や省エネルギーに配慮しながら衛生管理基準に則したドライシステムの施設として,また,子どもたちや教職員だけでなく,保護者や地域の人々も見学・研修・体験等に活用できる機能を視野に入れた施設として整備してまいります。

8.水戸市役所本庁舎問題について

次に水戸市役所庁舎の今後のあり方について、11月24日、水戸市議会の東日本大震災における復興対策調査特別委員会で、市が損傷度調査の結果を報告しました。現状では震度6強の地震で倒壊または崩壊の危険性が高いとして、第1が現庁舎の免震化、第2が現在地建て替え、第3が移転建て替えの3つの対策案が示されたところです。水戸市のまちづくりのビジョンに大きく関わる問題であり、耐震性・経済性・利便性・市民合意の観点が重要と考えますが、市長の基本姿勢をお伺いいたします。

①3案(免震化・現在地建て替え・移転建て替え)について

市が示した第一の現庁舎免震化の場合、免震化に26億円、設備改修に43億円、合計約69億円との試算でしたが、算出根拠をお示し下さい。
第二の建て替えの場合、つくば市・7階建てで77億円、福島市・10階建てで約89億円の例が示されました。水戸市の現庁舎は、軟弱地盤で350本の杭がありますが、建て替えの場合に地盤強化の費用はどれくらいかかるのか。市役所機能を集約した場合の必要面積、水道部や消防本部と一体整備する場合の必要面積と建設費の差など、詳細なデータを示すことです。また補助など財源の見通し、市民会館の方向性も見解を伺います。
第三の移転建て替えの場合の用地取得費についても、公共用地の場合と民有地の場合など概算を示すことを求めるものです。

②市民の声の反映について

今後のあり方について、幅広い市民の声を反映させることは当然であり、必要な情報を広く市民に公開することを求めます。市が取り組む1万人アンケートの設問は具体性に欠けており、市民の意向を詳しくつかむため、具体的な設問のアンケートの実施を求めます。
市民の意見を聞く会を各市民センターで行うとともに、市民参加の検討委員会をつくることを求めますが、答弁願います。

<答弁 高橋市長 市役所本庁舎について>

次に,市役所本庁舎についてお答えいたします。
本庁舎につきましては,今回実施した地震による損傷度等の調査により,現状での使用はできず,庁舎を使用するためには大規模な改修工事を行う必要がある,との結果が示されました。
その結果を踏まえ,市役所本庁舎等の今後の整備の方策としては,現庁舎の免震改修工事,現在地建替え,別な場所での建替えの三つの方策が考えられるものと整理したところであります。
この中で,それぞれの整備方策における概算事業費をお示ししたものでありますが,あくまでも概略のものであり,ただ今御質問にありました件につきましても,更に詳細な検討を進めてまいりたいと考えております。
私は,本庁舎等の整備は,今後のまちづくりを進めていくうえでも重要な課題であると考えており,整備方策については,これらの整備費用ばかりでなく,災害時の安全性や機能性をはじめ,維持管理費用等も含めた経済性,耐久性,都市構造上の拠点性など,幅広い視点から,検討を進めてまいりたいと考えております。
あわせて,水道部庁舎,消防本部庁舎のあり方も含め,大規模な改修工事又は建替えの手法を総合的に比較検討するとともに,財源についても引き続き国に強く働きかけ,その確保に努めながら,整備方策を選定してまいりたいと考えております。
今後,これらの内容を整理するとともに,整備方策を検討するうえで優先すべき事項等について,市民1万人アンケートにより把握し,議会の皆様方にも御議論をいただき,また,市民参加による検討委員会を立ち上げて議論を進めていただき,本庁舎等の整備方針を取りまとめてまいりたいと考えております。
私は,市役所本庁舎等のあり方は重要な課題であることから,この任期中での方針決定を目指していると述べたところでありますが,水戸市が,本格的な震災からの復興を図り,一体的な市民サービスを一日も早く行うためにも,任期中のできるだけ早い段階での決定に努めてまいりたいと考えております。

9.TPP(環太平洋経済連携協定)に反対表明を

最後にTPP、環太平洋経済連携協定への参加に反対を表明することを求め質問します。野田内閣は国民多数の反対意見に耳をかさず、TPP協定締結へ暴走しています。アメリカとの事前協議が始まれば、農林水産物の全面自由化、食の安全の規制緩和、混合診療の全面自由化などが迫られます。外国企業の参入自由化で、地方自治体の地元業者優先の入札制度の解体さえ危惧されているほどです。あらゆるものがゼロ関税、非関税障壁とされるものが撤廃されることは経済主権のじゅうりんであり、日本を丸ごと売り渡す亡国の政治ではないでしょうか。そこで質問は、TPPに参加した場合、水戸市の農畜産物に及ぼす影響額はどれくらいかお示しください。北海道では知事を先頭に道として反対を表明し、知事を本部長とする「TPP協定対策本部」をつくりました。全国2位の農業県・茨城でも同様の組織をつくるよう知事に求めるべきではないでしょうか。JA、医師会をはじめ幅広い断固反対の声が広がっており、市長がはっきり反対を表明し国に申し入れることを求めます。以上で質問と致します。

<答弁 高橋市長 TPPについて>

次に,TPPについてのご質問に,お答えいたします。
先月,国においては,「TPP交渉参加に向けて,関係国と協議に入る」との方針が表明されましたが,私は,今回の方針決定が,議論を十分尽くされていない,あるいは,議論の課程の情報が公開されていない中で決定されたことについては,問題があると考えております。
特に,TPP加入については,幅広い分野に渡り,わが国の経済産業や国民生活全般に大きな影響を及ぼすにも関わらず,メリット,デメリットを含め,不明確な部分が多すぎる中で,現時点では慎重に判断せざるを得ないと考えております。
TPP加入については国家の外交問題ではございますが,今後明らかになっていく情報等を的確に把握しながら,農林漁業をはじめとする各種産業に及ぼす影響を踏まえ,全国市長会等と連携し,地方として必要なことは国に要請していきたいと考えております。
次に,本市の農業への影響額についてでございますが,茨城県農業協同組合中央会の試算において,茨城県の農業生産額が35パーセント減少するとされておりますので,この減少率をもとに本市の農業生産額を試算しますと,年間41億3千万円減少すると推測されます。
なお,県レベルにおける「TPP協定対策本部」の設置について,茨城県知事へ申し入れることにつきましては,TPPの内容が明らかになった段階において,判断してまいりたいと考えております。