2017年12月議会 田中まさき議員 一般質問

<田中議員>
日本共産党水戸市議団の田中まさきです。通告に従い一般質問いたします。
1.子育て支援について
(1) 学童保育の充実について
はじめに、学童保育への支援の充実を求めて伺います。
今年10月、市内の複数の民間学童クラブに子どもを預ける保護者の代表から、市に学童保育の充実を求める要望書が提出されました。
保護者アンケートには「安心して預けられ、仕事と両立できる」「異年齢の触れ合いで、毎日充実している」「子育ての悩みを共有できる」など、学童が安心できる居場所として重要な役割を果たしていることがわかります。
また、開放学級を検討したものの、夕方6時までのため、7時半まで全学年を受け入れている民間にあずけた、という保護者が8割にのぼっています。
民間学童の多くが施設を借りており、指導員給与も保護者負担金で賄っているため、保育料が月1万円から2万円、送迎バス代なども含め高額なため、負担軽減を求める声も強くあります。中には、上の子の学童に4万円、下の子の保育所に6万円以上という保護者もいるほどです。
そこで質問は、民間学童クラブの保育料引き下げのため補助を行うことです。
古河市では、公設と民間の学童の利用料金が月5000円とおやつ代で同額です。就学援助や生活保護世帯、ひとり親家庭などは免除され無料です。
水戸市でも保育所保育料は公立も民間も、所得に応じ同額です。2人目・3人目が同時入所の場合減免されます。古河市と同様にできるはずです。
また、学童保育の指導員は、専門的な知識と技量を持ち、教員や保育士と同等の重責を担いながら、待遇はきわめて不十分なままです。国の支援員の処遇改善事業やキャリアアップ事業を積極的に活用し、補助拡充を求めます。
さらに国は、民間学童の施設家賃や土地の賃借料補助や、施設建設への補助ができるとしています。県内でも、ひたちなか市で1か所、つくば市で2カ所、かすみがうら市で3か所など、市が民間学童クラブの施設整備に直接補助を行っています。水戸市では例がありませんが、ぜひ実施を求めるものです。

●学童保育の充実について 答弁者 保健福祉部長
田中議員の一般質問のうち,子育て支援として,学童保育への支援についてのご質問にお答えいたします。
放課後児童健全育成事業は,保護者が労働などにより,昼間家庭にいない児童に対し,授業の終了後等に適切な遊びや生活の場を与える事業であります。本市においても,民間が運営する学童クラブは,放課後における子どもたちの安全で健やかな居場所として,市が運営する開放学級とともに重要な役割を担っております。
平成29年度の実施状況でございますが,市が運営費を補助している学童クラブは12か所,登録児童数は,11月1日現在567名となっております。
学童クラブの保護者負担金を引下げるための補助につきましては,開設時間や送迎サービス,特色のある運営方針などから,保護者が学童クラブを選択しているという面も考慮する必要がございます。一方で,経済的な問題が子どもたちの健全な放課後の生活に影響を与えることのないように,補助のあり方について,引き続き検討してまいりたいと考えております。
また,支援員の待遇改善につきましては,「放課後児童支援員等処遇改善等事業」といたしまして,一定の要件を満たす事業者に対し,賃金改善に必要な費用の一部を補助する事業を平成27年度から実施しているところでございます。
また,昨年度は,支援員の事務負担軽減を図るため,タブレット端末やパソコン等のICT機器の導入に必要な費用の一部を助成する「放課後児童クラブ環境改善整備推進事業」を行ったところでございます。
さらに,今年度からの国の新たな補助メニューである「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」は,勤続年数や研修実績等に応じ,支援員の賃金改善に必要な費用の一部を補助するものでございます。今後,その活用についても検討し,支援員の待遇改善を促進してまいりたいと考えております。
民間学童クラブの家賃の補助につきましては,これまでも,放課後児童健全育成事業の運営費補助において対象としているところでございます。
一方,施設整備補助につきましては,本市では,これまで,学童クラブに対する補助の実績はございませんが,開放学級を含めた放課後児童健全育成事業の展開を図る中で,必要に応じ検討してまいりたいと考えております。
今後におきましても,将来の水戸を担う子どもたちを笑顔で育むことのできるまちの実現に向け,学童クラブの運営の充実に努めてまいります。

<田中議員>
(2) 開放学級の全校で全学年実施、待機児童解消、開設時間の延長について
開放学級の充実もまったなしです。全学年受け入れは現在12校ですが、市の目標の2019年度まであと2年、未実施の21校で全学年受け入れができるでしょうか。しかも、待機児童が今年8月には90人で去年より大幅に増えており、毎年2校程度の専用棟建設では、間に合わないと考えますが、待機児解消と全学年受け入れの見通しをお答えください。
開設時間は、現在6時までが19校、6時半までが14校ですが、せめて6時半に統一し、今後7時までに延長すべきですが見解を伺います。
いずれにしても、十分な施設と支援員を確保する特別な対策が必要であり、確実に実行できる来年度予算編成を強く求めます。

●開放学級の拡充について 答弁者 教育部長
田中議員の子育て支援についての一般質問のうち,開放学級の拡充についてお答えいたします。
次代をリードする子どもたちを,安心して生み育てることができ,子どもたちが心豊かに成長できる環境づくりを推進するため,開放学級の拡充に向けた取り組みは重要であると認識しております。
はじめに,開放学級における待機児童の人数とその解消見込みについてお答えいたします。
本年11月1日現在,開放学級全体で3,033人の児童を受け入れている一方,待機している児童は18校で71人となっております。
そのため,長期休業期間のみの利用希望者に対する受け入れ可能な開放学級の情報や,民間学童クラブ等の情報提供を行うとともに,支援員の確保を図り,待機している児童の解消に努めているところでございます。
次に,2019年度までの全校全学年受け入れの見通しについてお答えいたします。
本市におきましては,水戸市放課後子ども総合プランにおいて,平成31年度までに全学年を対象に希望者が全員利用できる環境の整備を段階的に目指しており,今年度は全校において4年生までの受け入れを開始し,さらに,緑岡小学校と吉沢小学校において開放学級専用棟の建設を進めるなど,定員の拡大に努めております。
今後とも,小学校6年生までの利用希望者全員の受け入れに向け,引き続き計画的に専用棟の建設や余裕教室の確保を図るとともに,開放学級支援員の確保に努め,受け入れ人数の拡大を図ってまいります。
次に,開放学級の開設時間延長についてお答えいたします。
開放学級の終了時刻につきましては,午後6時までを基本として運営しておりますが,午後6時30分まで延長する学校を毎年度徐々に増やし,現在は約4割の学校,14校において実施しております。
今後の開設時間の延長拡大につきましては,現在,延長を行っている学校での利用実態等を的確に把握するとともに,支援員の確保に努めながら,当面,全校での午後6時30分までの延長について,検討してまいります。
今後とも,放課後に子どもたちが,安心して楽しく過ごすことができるよう,実施場所の年次的・計画的な確保に努め,平成31年度までの6年生までの受け入れなど,開放学級の充実に努めてまいります。

<田中議員>
2.住宅行政について
(1)住宅リフォーム助成制度について
次に住宅行政のうち、今年度始まった住宅リフォーム助成制度についてです。長年の要望が実現したもので、台所・浴室など水回りの改修や床・壁などの断熱改修、屋根のふき替えなどに利用できます。補助率は10%、上限10万円ですが、実績は予算の5分の1程度とのことであり、実情をお答え下さい。
多くの市民に活用していただくために、より一層、周知徹底することはもちろん、昭和56年6月1日以降の建物限定の条件をなくしてはどうでしょうか。
この制限で2割の家屋は助成対象から外されており、他の自治体では見られない条件です。リフォームと同時に耐震化すれば、快適性と安全性を同時に向上できることになります。市内業者の仕事増やしにも役立つ事業であり、より積極的な事業の推進を求めるものです。

●住宅リフォーム助成制度について 答弁者 都市計画部長
田中議員の一般質問のうち,住宅行政についての御質問にお答えいたします。
まず,住宅リフォーム助成につきましては,将来にわたり安心して住み続けることができる住まいづくりのため,既存住宅ストックの活用による住環境の向上と地域経済の振興を図ることを目的として,今年度から開始した制度であります。
制度の内容につきましては,新耐震基準により建てられた住宅を対象に,市内に本店を置く建設業者に50万円以上のリフォーム工事を依頼した場合の工事費用の一部や,茨城県及び茨城県建築士事務所協会が推進するリフォームアドバイザーの派遣に係る費用の一部を,最大で10万円補助するものであります。
今年度の実績といたしましては,11月末までに77件,補助交付額として約730万円の申請があったところであり,対象となったリフォーム工事費用につきましても約1億4400万円に上ることから,既存住宅の長寿命化と地域経済の振興につながっているものと考えております。
対象となる建物の要件につきましては,住宅を安全安心して長く使えるようにするため,新耐震基準である昭和56年6月1日以降に建築された建物に限定しておりますが,それ以前のものであっても耐震改修等を行うことにより,本リフォーム助成が活用できるものとなっております。
引き続き関係団体をはじめ市内事業者などへの制度周知の強化に努め,さらなる利用促進を図ってまいります。

<田中議員>
(2)まちなか住みかえ支援について
まちなか住みかえ支援制度は、中学生以下の子どもがいる子育て世帯を支援し、住宅取得の場合は年12万円以内、賃借の場合は月1万円上限で最大4年間補助するものです。まち・ひと・しごと創生総合戦略では、あと2年で280件の住みかえが目標ですが、実績は12件、わずか4%です。
利用が低調な理由はどこにあるのでしょうか。一言でいえば、子育て世帯のニーズに合っていないのだと思います。
その一つは対象エリアが、上市地区の一部に限定されていること。二つは、対象物件の面積が、3人家族で40平米・2LDK以上、4人家族で50平米・3LDK以上となっていることです。
上市地区の2LDK以上の賃貸マンションやアパート家賃は、月8万円から10万円が相場です。親としては子どもの転校は避けたいわけで、すみ替え支援の対象は、就学前の子をもつ20代後半から30代の親が多いと考えられます。決して高くない給料と、今後の子育て費用を心配する世代が、1万円の補助だけで、月10万円近い家賃を払ってまで住みかえようと考えるでしょうか。
本気で目標を達成しようというなら、対象エリアの拡大はもちろん、月1万円までの補助の増額、居住面積要件の引き下げが必要ではないでしょうか。
また、シニア世代の住み替えにも支援策を実施することです。大きな一戸建より駅にも近く便利なまちなかに、というシニア世代も少なくなく、低年金で暮らす高齢者への家賃補助は歓迎されると考えます。
ひたちなか市ですでに月2万円の家賃を最長5年間、補助する制度があることも考えると、他市より優れた支援策をミックスして取り組めば、相乗効果も生まれるものと考えますが、見解を伺います。

●まちなか住みかえ支援について 答弁者 都市計画部長
続きまして,まちなか住みかえ支援につきましては,子育て世帯まちなか住替え支援制度として,水戸市中心市街地活性化基本計画における都市中枢ゾーンに,次世代を担う子育て世帯の住み替えを促進し,まちなかのにぎわいを創出することを目的に,昨年7月から実施しているところであります。
制度の利用状況につきましては増加傾向となっており,現在までに,子育て世帯12世帯の住み替えにつながったところであります。年度内には,まちなかにおいて2棟のマンションが完成する予定となっており,制度利用による住替えにつながるものと期待しております。
また,今年の11月10日には,住宅金融支援機構と協定を締結し,本支援制度を利用した世帯にあっては,長期固定金利住宅ローンである「フラット35」の金利引き下げを受けることが可能となったことから,さらなる制度利用の促進につながるものと考えております。
議員御提案の対象エリアの拡大につきましては,今後,水戸市立地適正化計画において居住誘導区域を設定することになりますので,対象エリアを含め新たな支援制度についても検討してまいりたいと考えております。
その他の上限額の引き上げ,居住面積の要件緩和,シニア世帯への対象拡大を含めた各種要件の見直しにつきましては,現行制度の取組による効果を検証したうえで検討してまいります。
今後とも「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で掲げた目標達成に向け,引き続き制度の積極的な周知に努めながら,さらなる子育て世帯の住替え促進を図ってまいります。

<田中議員>
3.原子力行政~核のごみ最終処分場候補地問題について
最後に、核のごみ最終処分場候補地問題についてです。原発から出る核のごみ、いわゆる高レベル放射性廃棄物は、最終処分の方法も行き先も決まらぬまま、無責任な原発推進政治によって、増え続けてきました。
国は今年7月に、最終処分場の候補地を示す「科学的特性マップ」なるものを発表しました。このマップで驚いたことは、海岸から20キロメートル以内が、核のゴミを保管地から輸送しやすい範囲内とされたことです。
つまり、水戸市の大部分も適地とされたのです。
これが「科学的特性マップ」(*)ですが、緑色で示されている適地に水戸市も含まれています。30年以内に巨大地震発生の確立が90%という茨城県を適地とする科学的根拠がどこにあるのでしょうか。
12月4日、候補地選定に関する都道府県の態度が報道され、北海道や新潟、福井、高知など、21の道県が「危険な核のゴミを受け入れることはできない」と表明しました。高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体となっても、人が近づけば20秒で死亡する危険なもので、放射能が元のウラン鉱石レベルまで減るには10万年もかかります。
東海再処理施設には306本のガラス固化体があり、東海第2原発にも使用済み核燃料が大量に存在しています。国が茨城県も安全だと言ったら、水戸市はそれを受け入れるのでしょうか。こうした事態をどう考えているのか、国・県に対し、水戸市を含む最終処分場候補地について、明確に拒否すべきと考えますが、答弁を求めます。
以上で、第1回の質問を終わります。答弁によりましては再質問いたします。

●核のごみ最終処分場候補地問題について 答弁者 市民協働部長
田中議員の一般質問のうち,原子力行政について,お答えいたします。
国が,平成29年7月に公表した,放射能レベルの高い廃棄物の地層処分に関する「科学的特性マップ」につきましては,最終的な処分地を決定するものではなく,地層処分の仕組みなどについて,国民の理解を深めるために作成したものであり,一定の要件・基準に該当する地域が,全国にどのように分布しているかを示すものと認識しております。
具体的には,国は,土地を容易に確保できるかなどの社会科学的な観点は,要件や基準に含めておらず,火山や活断層の影響を受けやすい場所を避けるとともに,輸送時を考慮し,沿岸部から一律 20キロメートル内を好ましい地域の目安として設定するなど,自然科学的な要件・基準に基づき,示したものとしております。
本市においては,市のほぼ全域が,「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高く,輸送面でも好ましい地域」とされておりますが,多くの市街地,住宅地を有し,27万人の市民の皆様が生活していることなどを踏まえれば,本市が必ずしも最終処分場に適した立地条件であるとは認識しておりません。
今後,国において最終処分場の候補地の選定に向けた調査等を進めるに当たっては,今回の要件・基準だけではなく,市民の意見をはじめ,地域特性など,あらゆる条件について,十分に考慮すべきと考えております。

<田中議員の再質問>   
●核のゴミ最終処分場候補地問題について
核のごみ最終処分場問題について、再質問します。
「水戸市は必ずしも適地として考えていない」という答弁でした。
そうであれば「拒否する」と、明確に表明すべきではないでしょうか。
というのも、国は10月から、科学的特性マップに基づく説明会を全国で開いており、今後、処分場の建設に向けた調査の受け入れを自治体に申し入れたい、とはっきり言っているからです。
市民の安心・安全を守るというなら、拒否を表明した21道県と同じように、今のうちにきっぱりと、「危険な放射性廃棄物や最終処分場は拒否します」と表明すべきだと考えますが再度答弁願います。