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2015年9月議会 田中まさき議員 一般質問 <2015・9・11>

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日本共産党水戸市議団の田中まさきです。常総市をはじめ、大雨による多くの水害被災者に対し、心よりのお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧と生活再建を望むものです。

昨日の水戸市内では、青柳町で那珂川からの逆流防止のために、水門の閉鎖にあたる消防職員の姿や、避難者の対応に当たる市民センターの職員の姿をみることができました。

多くの市民が不安な気持ちで過ごした一日だったと思います。市民の安全をまもる機敏な対応に敬意を表するとともに、今後もより一層、防災に力をいれた行政をもとめて、通告に従い一般質問を行います。

1.総合戦略の策定について 子育て支援・安定雇用・地域づくり

はじめに、国が地方創生として打ち出した「地方版総合戦略」について、水戸市がどのようなものを策定しようとしているのか、また、推進組織の構成や運営について、幅広く市民の意見を反映する機関となるよう求められておりますが、市の取り組み状況と考え方を伺います。

この間全国では、国が提起した新交付金、すなわち地方創生先行型交付金1700億円を活用して、住民要求にこたえる施策をはじめている自治体があります。

この交付金が子育て支援や少子化対策、地域仕事支援など、幅広く地方単独事業の原資にも充当できることを活用して、全国で新たに29道府県、74自治体が子どもの医療費助成の実施・拡大に取り組んでいます。

政府も、新交付金を活用した子どもの医療費助成を行った場合は、従来の国庫負担金を減額するというペナルティは行わないと、衆議院地方創生特別委員会で答弁しています。

また、住宅リフォームを行う場合の助成制度については、40道府県、179自治体で交付金を活用し実施されています。長く住み続けられる住まい、まちづくりにも資するとともに、地元中小業者の仕事おこしにもつながるものです。

雇用支援策も各地で多面的にとりくまれ、北海道苫小牧市では、青年の就業支援として、離職を防止する処遇改善の実施や就業チャレンジ、若者の人材育成事業を支援しています。また、立地企業サポートとして合同就職説明会や設備改修・工事への助成、事業・販路拡大支援などに交付金を活用しています。

本定例会にも、女性の社会進出支援や自転車利用のアプリの開発など、いくつか交付金を活用した補正予算が組まれていますが、本格的な子育て支援や地域づくりの観点からみると、内容や規模のさらなる拡充が必要と思います。

人口対策が強調されていますが、よびこみ型ではなく、住んでいる市民のくらしを支えるプランであるべきです。私が提案した子ども医療費助成や住宅リフォーム、雇用支援などの実施を戦略にもりこむべきと考えますが見解を伺います。

2.高齢福祉行政について

(1)施設入所者の食費・居住費の負担軽減について

次に特別養護老人ホームや老人保健施設など、施設に入所されている方の食費と居住費の負担軽減についてです。2005年に、それまで保険給付だった食費・居住費を全額自己負担にされたとき、「低所得者を施設から排除しない」ための利用料軽減策(補足給付)がつくられました。2015年4月現在、全国では103万人、水戸市の対象者は約3000人いると聞いております。

この制度の改悪で、8月からは収入が全くなくても預貯金が一定以上ある場合などは軽減が受けられなくなります。また、引き続き軽減を受ける条件があっても申請しなければ軽減されず、月2万~7万円の負担増となってしまいます。市は、事業所やケアマネージャーを通じて、利用者の収入や預貯金の資産調査の書類提出を求めており、これ自体が現場に困惑と負担をもたらしています。9月に入り、8月分の利用料の支払い時期となります。

そこで、約3000人のうち何人が申請し、未申請の方はどれくらいいるのか。軽減対象者がもれなく申請できるよう利用者や家族への親切丁寧な説明、施設やケアマネージャーと連携した市の取り組みを求めますがお答えください。

厚生労働省は、日本共産党の小池参院議員に対し「提出日をすぎても、月の末日までに申請ならその月の支給は可能」「認知症などで親族らの助けも望めない場合もいったん支給できる」と答弁し、自治体に通知を出していますが、対応方針を伺います。

(2)水戸市独自の利用料減免制度について

国の減免以外に在宅サービス利用料を、10%から8%に軽減する市独自の制度があり、利用者は1800人もいます。この軽減のおかげで、少ない年金でもなんとかサービスを利用できるという方が沢山います。国と同じような対象者を狭める改悪は行わず、これまで通りの軽減を求めますがお答えください。

(3)特養ホームの待機者実態と増設計画について

先日、老人保健施設に入所している方のご家族から「特養ホームを希望し探しているけれど、4年待ちといわれた」という相談がよせられました。介護の現場は本当に深刻です。保育所待機児童は平成29年度までに解消をめざすとしていますが、特養ホームは期限をきった待機者ゼロの目標がありません。

今も約400名の待機者がおり、年1か所を2か所に増やすなど増設計画の引き上げが必要ではないか見解を伺います。

3.市立図書館への指定管理者制度の導入について

次に、市立図書館の地区館5館への来年4月からの指定管理者制度の導入についてです。

先日、弘道館など教育遺産群の日本遺産認定の報告会が行われ、私も参加しました。認定にともない、栃木県足利市、岡山県備前市、大分県日田市と水戸市が4市連携して情報発信や普及啓発にとりくむとされています。

教育遺産群認定の理由は「武士のみならず、多くの庶民も読み書き・算術ができ礼儀正しさを身につけるなど、高い教育水準をしめした」とされています。水戸の先人の教育に対する熱心さが評価されたものです。

なお、足利学校には遺跡図書館が、日田市では咸宜(かんぎ)園(えん)教育研究センターが併設され、備前市の三つの図書館も市の直営で、それぞれ研究資料を広く公開し、日頃より子どもから大人までの学習支援にとりくんでいます。

水戸市の教育目標である「知性に富み、心身ともに健全な風格を備えた人間・水戸人の形成に寄与する」にてらせば、知の拠点であり、学びを支える大事な図書館を、もっぱら経費削減のために民間に委託し、市の責任を後退させることは、教育目標にも水戸の先人の教えにも反することではないでしょうか。

現在、図書館の民間委託のため、指定管理者の公募を9月15日まで行っていますが、説明会に参加した会社の数や業種はどんなものかお示しください。

8月10日の文教福祉委員会で公表された「指定管理者の公募要項と仕様書」によると、選定評価基準6項目で合計100点のうち、管理経費の縮減が20点とあります。市の実績に基づく5年間の指定管理料の総額、12億1578万3千円を超えると失格となり、より少ない経費の業者が高く評価されるしくみです。

開館時間の延長で維持費は増加するのに、これまでの実績を超えてはならないので、人件費など他の経費にしわ寄せされます。市の嘱託職員は時給換算で1160円、臨時職員が820円ですが、指定管理者では最低賃金747円を上回ればよく、給与の削減や労働条件悪化は避けられません。

市が強調するサービス向上にしても「指定管理者が行う自主事業の業種・収入に制限はない」としています。もともと市の経費を下回る前提の指定ですから、民間企業が収益をあげようとすれば、お話し会や工作教室など無料の行事よりも、営利目的の自主事業で稼ぐことになるのではないか。無料で本に親しむ本来の目的から外れる図書館になりかねないと考えますが見解を伺います。

また、先日パブリックコメントが終了した第三次図書館基本計画をみても、指定管理者の記載は1か所のみで、中央図書館の監督的立場が書かれておりません。5年ごとの交代で図書館運営の継続性も失われ、サービス向上の保証もないものと考えます。

市立図書館を、ツタヤを運営する会社であるCCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブの指定管理者に委託した佐賀県武雄市では、子ども達の読み聞かせ室や専用トイレが、スターバックスコーヒーに変えられましたが、水戸市の要項でもこうした形態は排除されていません。

改めて、市民との協同による魅力ある水戸市立図書館とするために、民間委託は行わず直営を維持すべきと考えますが答弁願います。

4.マイナンバー制度について

最後にマイナンバー・社会保障税番号制度について質問します。

10月から住民票を有するすべての市民にマイナンバーを通知し、来年1月からマイナンバーの利用および個人番号カードの交付を開始するとしています。

しかし多くの国民は制度を詳しく知らず、むしろ情報漏れへの不安が広がり、全国の自治体でも問い合わせの増加や窓口混乱の懸念の声が広がっています。

マイナンバー通知カードは、地方公共団体情報システム機構・J-LISが、10月中に発送するとしていますが、送付準備について自治体に十分知らされておりません。通知カードが確実に届くのかもわからぬままで、市民から「届かない」などの問い合わせが増加することは確実です。

また、住民票の住所に住んでいない人や介護施設入所者、DV被害者などの対応はどうなるのか、春・夏・正月休みなど住所移動の繁忙期にはカードへの記載という新たな事務も増えることになります。

効率が上がるどころか事務が増えて市民の待ち時間は長くなるなどサービス低下するといわれていますが見解を伺います。

最大の問題は個人情報の漏えいの危険が高まることです。年金機構が125万人分の個人情報を流出させてから4か月、いまだ全容も不明で、年金情報との統合は行わないと法改正までされたほどなのに、このままマイナンバーを実行するなどとんでもありません。

水戸市では、市民の情報を管理するコンピューターの基幹ネットワークと、情報ネットワークの切断の対策はとられているのか。個人情報を情報系ネットワークに移動して作業していないのか。

年金機構では基幹ネットワークと情報ネットワークは切断していたものの、ディスク媒体で移動していたため漏えいにつながりました。情報を外部に持ち出す行為や不正な通信の確認、アラームを発したり、通信を遮断するなど、セキュリティの現状についてもお答えください。

法改正で医療機関受診や健診情報、クレジットカードや銀行口座などもマイナンバーの情報に登録するとされました。今後さらに国民を管理する情報の一元化を進めようとしており、ますます漏えいの危険は高まるばかりです。

マイナンバー制度の実施は中止し、個人情報保護の対策を強化することを求めて、1回目の質問を終わります。

答弁によりましては再質問させていただきます。

<田中議員の再質問>

図書館の指定管理者制度の問題で再質問いたします。

答弁では「委託業務の見直しや物品の調達方法などで経費を節減する」ということでした。現在の地区館5館では、設備や空調・清掃や樹木管理など、1館あたり10社程度の地元業者などに委託しています。この経費を減らせば地元業者を安く使うということになると思いますがどうなのか。

また「様々な観点からの経費の節減」に人件費も含まれるととらえているのかお答えください。

そして、図書館の命ともいえる書籍や資料をどうそろえるかについてですが「地区館が選定した資料の購入決定は中央図書館が担う」という答弁でした。

結局、選定の段階は民間の指定管理者の仕事ですから、業者の意向に沿った選書がまず行われることになるのではないでしょうか。

今も毎週300~500冊の書籍の選定を行っていると聞いていますが、少なくなった中央図書館の市職員で、チェックや判断がしきれるのかも疑問です。ご見解をお示しください。

さきほど紹介した武雄市立図書館では、13年前のウインドウズ98の解説本など古い実用書が大量に購入され、ツタヤ系列会社の在庫一掃に使われた疑惑があるとして住民訴訟に発展し、今日が佐賀地裁の口頭弁論の第1回目だそうです。また、同じCCCを指定管理者とする愛知県小牧市では、計画の是非を問う住民投票が10月4日に行われることになっています。

さらに山口県下関市では、5年の指定管理期間を経て「図書館はビジネスになじまない」と市直営に戻しております。

このような例を見れば見るほど、さきがけのまち水戸が、図書館を民間に任せていいのかと強く思うところです。

改めて直営での充実を求めて再質問を終わります。