2012年12月19日に、第7回行財政改革調査特別委員会が開かれ、「水戸市行財政行革プラン2013」を決定する審議が行われました。田中議員は市民負担を増やし、職員定数の大幅削減など市民サービスの低下をもたらすプランだとして、撤回と抜本的な見直しを要求しました。他の議員からは職員定数削減ばかりのプランには賛同できない、委員会の審議が修正に反映してないなどの意見が出されました。また公明党の議員は「基本的な内容を良とする。」と表明。委員会の最後に田尻副市長は「行革プラン2013を全庁挙げて実行していく」と表明し、あくまで行革プランをを推進する姿勢を示しました。
委員会で田中議員が述べた行革プラン2013に対する総括的な意見の要旨は次の通りです。


行革プラン2013について総括的な意見を申し上げます。2013年度から2015年度までの行革方針ですが、市民には負担増、公共施設の民間委託、職員定数の70人削減など市民サービス低下のメニューが並んでおり、抜本的な見直しを求めいくつか申し上げます。

Contents

1.プラン2013の財政収支の見直しを求める

プラン2013の基本となる財政収支の見通しは、歳入の過小見込みで危機感をあおり行革プランを押し付ける収支見通しであり抜本的見直しを求めます。2010では5年間で152億円の財源が不足すると見通していましたが、実際は逆で、今年度末の財政調整基金と繰越金で約90億円の余剰金となり、240億円のずれがあったものです。プラン2013でも5年間で141億の財源不足に陥ると予測していますが現実にはありえない想定であり、見直しを求めます。

2.職員定数削減と民間委託の推進は市民サービスを低下させる

(1)職員の定数削減は中止を。

平成20年度から24年度まで121人の正規職員を削減し、27年度までに70人削減するとしています。市職員の大幅削減は市民サービス低下と職員の加重負担をもたらします。現在でも36%にのぼる臨時・嘱託職員をさらに増やし自治体ワーキングプアを作り出すものです。正職員の雇用維持と臨時・嘱託の待遇改善を求めます。

(2)職員の勤務環境改善を。

恒常的な長時間残業の部署は、財政課や秘書課などプラン2010の時点とあまり変わっていません。必要な職員配置など時間外勤務の抑制策をとることを求めます。また、療養休暇中の職員の14%、長期療養者の1位がメンタル系疾患となっており、メンタルヘルスの対応の充実を求めます。

(3)公の施設・事務事業の民間委託はやめ直営の堅持を。

公の施設の管理運営への民間活力の活用では、保育所や図書館はじめ民営化はふさわしくない施設ばかり計画に掲げられており、直営堅持を求めます。市は管理運営経費を削減することばかり追求しますが、戸籍や住民票などの窓口業務は守秘義務の問題もあり、学校給食やごみ収集などすでに多くの臨時・嘱託職員への置き換えが進んでいます。より一層の安上がり労働に置き換え、公的責任を後退させる民間委託は行うべきではありません。特にこの間、学校給食共同調理場は直営から宇都宮市の業者へ、水道料金の徴収の包括外部委託で5社で行っていた業務を東京の業者1社に、駐車場の指定管理者では14社で行っていた業務を東京の社団法人に指定する議案が出され継続審議になりました。地元業者の仕事を奪い、低賃金で雇い、利益は本社で市に納税もしないことになる。これでは何のために民間委託をやっているのか、本末転倒であり、民間委託方針の見直しを求めます。

(4)類似性のない外郭団体の統廃合は中止を。

外郭団体ではすでに市職員を引き上げてきました。駐車場公社と勤労者サービスセンターなど類似性に欠ける外郭団体を統合しても効率化になりません。市の重要な業務を担い、また指定管理者に指定してきた経過からもそれぞれ拡充すべきで、統合方針は見直すべきです。

3.市民負担を増やすことに反対します

(1)受益者負担の適正化の名による市民負担増は撤回を。

受益者負担の適正化として、来年度に「使用料・手数料の見直し」を行い再来年度に実行するとしています。震災での打撃と不況で市民生活が厳しさを増している中、受益者負担の適正化の名による各種料金・使用料・手数料の値上げはやめることを求めます。来年度の下水道料金・農業集落排水使用料の値上げは中止すること。無料施設の市民センターや老人福祉センターなど賄い率の考え方を導入することが施設目的に反しており、新たな使用料・手数料の徴収などの26年度値上げ計画は中止を求めます。

(2)市単独扶助費の継続拡充を。

高齢者お祝い金は77歳への支給の意義が薄れているとか、介護保険低所得者負担軽減は利用者が増えているから見直す、障害者福祉手当見直すとしていますが、いずれもささやかな福祉事業であり市単独扶助費は削減ではなくいずれも継続拡充を求めます。身近な地元団体などへの福祉切り捨てにつながる補助金削減は行わないことを求めます。

(3)社会保障の適正運営の名による、締め付け強化やめよ。

社会保障の適正運営がプラン2013に初めて盛り込まれましたが、生活保護の扶養義務調査の強化などによる受給抑制はやめること、ケースワーカーの体制拡充できめ細かな生活相談や就労などの支援充実を求めます。国保については一般会計の繰り入れをふやして、所得に比べ高い税のひきさげを求めます。

(4)強権的な取り立てやめよ。

収納率を向上させるとして取り立て強化方針が示され、市民生活が厳しい中で差押などを一層強化するとしていますが、平成23年度は差押さえが611件で前年度の2倍、国保の保険証窓口留め置きは現在も600件、昨年度の給水停止が年間2593世帯など、いずれも年々増加しています。さらに取り立てを強化することは生活困窮者をますます増やす悪循環です。値上げや負担増をしておきながら取り立てを強化することは、本当に希望のないやり方で市民との軋轢を一層増やすことにならざるをえず、強権的な取り立ては中止を求めます。

4.待機児童ゼロ、災害対応の速やかな実行を求める

(1)塩づけ土地の早期解決を。

先行取得用地の管理の適正化として、土地開発公社の長期保有土地の買い戻しや活用策を個別に具体化することを求めます。

(2)保育所待機児童の解消を。

保育所待機児童の解消のために、公立保育所などの大幅定員増と改築の前倒しなどで速やかな待機児童ゼロを実現することを求めます。災害対応の市民との協働についてはすみやかに全地区で実行できるよう具体化を求めます。

5.結論として「行革プラン2013」は撤回し、内容の抜本的な見直しを求める

今申し上げてきたように、全体として、行政改革の名において、住民サービス低下をもたらす内容・問題点が多く含まれており、修正を求めた点になんら変更がなされていないことから、今回の「行革プラン2013」は撤回し、改めて内容の抜本的な見直しを行うことを求めるものです。総括的な意見は以上であります。