5月11日、水戸市臨時市議会が開かれました。これは住民投票の実施をもとめる条例制定の直接請求(署名14,691名、法定数3.3倍)にもとづいて開かれたものです。高橋市長は「住民投票は必要ない」との市長意見書をそえました。日本共産党の中庭次男市議は議案質疑にたち「市長は住民の声を聞く姿勢がない。住民投票を実施すべきだ」と主張しました。中庭議員がおこなった議案質疑の内容はとおりです。

中庭議員の議案質疑

議案第57号、新市民会館建設及び、これに係わる市費の支出の賛否を問う住民投票条例について、市長意見書にそって議案質疑を行ないます。

300億円以上をかける新市民会館建設に対し、計画を白紙に戻し、市民の声を反映させるため、住民投票を求める「市民の会」が昨年12月に結成され、2月13日から署名活動が行われました。署名捺印し、生年月日まで記載された14,691人の署名がわずか1カ月間で集められたことは画期的であり、水戸市では住民投票の実施をもとめる直接請求は初めてのことであります。

そこで質問の第1はこの条例は、第一条の目的で、「新市民会館計画について、市民の賛成、反対の意志を明らかにし、もって、市政の民主的かつ健全な運営を図ること」としています。住民投票条例の制定をもとめる署名は法定署名数の3.3倍に達しています。

住民投票は地方自治法で保証された市民の政治参加の重要な機会であります。

市長は意見書で住民投票は必要ないとしていますが、市民が市政の民主的運営に参加する必要はないと考えているのかお答えください。

第2は新市民会館の立地判断や規模について質問いたします。

市民会館の立地判断にあたって、泉町1丁目に2000名の大ホールをもち、3000人規模のコンベンション施設とすることについて、事前に市民にはかることも、議会で審議することもなく、市長が表明した理由についてお答えください。

今回の新市民会館建設では、最大地権者の伊勢甚が19億円で購入したと見込まれる旧京成デパートの補償金として、30億円が支払われるといわれております。一体いくら支払うのか。解体費も水戸市が全額負担します。この再開発事業は特定企業優遇ではないかと指摘してきましたが、市長はそう考えないのか、再開発で計上されている60億円の補償金の内訳についてもお答えください。

また3700名を収容する市民会館に300台の駐車場はあまりにも少ないと考えないのか。利用者が駐車場探しで、右往左往し、大渋滞をまねくことになります。

どう解決するのか、駐車場建設費とあわせてお答えください。

第3に多様な意見の反映について質問いたします。

昨年12月に行われた市民会館に関する公聴会では口述人全員が現計画に反対意見を述べました。しかし、市長意見書では賛否両論があったとしています。事実に反するのではないか、お答えください。

水戸市が行った市民アンケートは2000名の大ホールを前提に質問しており、そもそも規模や設置場所についての質問項目はありませんでした。建設先にありきのアンケートではないか。市民の意見を反映して2000名のホールにしたというのは偽りでありませんか。市民ワークショップも計画に反対する市民は排除され、これで広く市民の声を聞いたと言えるのか、お答えください。

また市民の会はこれまで、市長に直接あって懇談したいと何度も要望してきましたが、いまだに面会できず、今回の住民投票条例の本請求にさえ、市長は立ち会うことはありませんでした。 本来、市長は多くの人々の意見を聞いて市政を運営する立場ではないでしょうか。なぜ市民の会の方々とあって意見を聞くことをしなかったのかお答えください。

第4に、市民の会や私たちは新市民会館の全体事業費は300億円と主張してきました。しかし、水戸市はあくまで192億円と主張してきました。ところが市長は、昨日のNHKの報道で、市民会館建設費と再開発事業費をあわせると約300億円と答え、一体であることをお認めになったわけであります。今後は約300億円かかるとの認識でよろしいかお答えください。さらに市民会館は維持管理費が年間3億円以上もかかり、定期的な大規模改修が必要となる特殊な施設です。需要調査もせず、稼働の見通しさえ立っていないのに、建設を進めることは、無用なハコモノをつくることになります。維持費と改修費の見通しについて明確にお示しください。さらに昨日の都市建設委員会で水戸駅北口のリヴィン跡地の民間再開発に水戸市が補助を実施することを表明し、9月議会には補助金として3億3000万円の補正予算を計上するとしています。総額では40億円の補助が見込まれます。これでは4大プロジェクトどころか、5大プロジェクトになり、さらに多額の借金をもたらすと考えないのか、お答えください。

第5にみと財政安心ビジョンによって、4大プロジェクトの実施でも健全財政を運営でき、教育、医療、介護、子育ては後退することはないと意見書でのべていますが、4大プロジェクトの総事業費は1000億円を超え、市債の総額は2452億円にも達し、過去最大となります。市民一人あたり91万円の借金となります。暮らしが大変ななかで、さらに子どもの世代まで借金を負担させることになります。

安心ビジョンでは、今後の市税や公共料金の値上げ、取り立ての強化、行政サービスの民間委託をかかげています。実際に水戸市は今年度から下水道料金を6.8%値上げし、市立図書館、学校給食の民間委託を拡大しました。今後、財政調整基金97億円のうち32億円も市民会館の建設に使うとなれば、市民生活へのしわ寄せはさけられません。どうしてこれで市民が安心できるのかお答えください。福祉や教育予算の削減につながることは、市民が一番心配していることであります。

第6に都市計画決定がされていないのに、移転先用地を8億円以上使って買収したり、設計業者を決めたり、京成百貨店と新市民会館との連絡通路の調査費用を計上するなど、あまりにも先走っており、公金の使い方がずさんとは考えませんか。また、計画に反対する地権者をいる中で、都市計画決定は許されるものでありません。

第7に市長は、新市民会館は昨年4月の市長選挙の公約だといっておりますが、新市民会館の建設地、規模、事業費については、公約では一切ふれておらず、とても300億円の現計画が認められたとは言えません。

従って、市民が使いやすい市民が望む市民会館の建設のためにも、建設地、規模、事業費、運営費などについて、幅広く市民の声をきくことがもとめられています。

住民投票条例は第10条で、情報の提供について,「住民投票の実施にあたり、市長が有権者の判断に資するため、資料を一般の閲覧に供し、必要な情報を提供しなければならない」としています。市長は本条例に基づいて、正々堂々と市民に対し、現計画の是非を問うべきと考えるがどうか。

以上で第一回の質疑を終わります。答弁によっては再度、質疑を行ないます。  以上