2019年3月議会一般質問(中庭次男議員)3月12日

〔国保税の値下げについて〕

国保税について質問いたします。

水戸市はこの間に国保税の値上げを繰り返し、所得にくらべて大変高い国保税となりました。一人平均で9万7,000円、一世帯平均でも15万8,000円となりました。所得の1割に達しており、暮しを圧迫しています。もともと国保は年金生活者、アルバイトなど非正規労働者など低所得者が多く加入し、年所得100万円以下の世帯が59%も加入しています。

中小企業などで働く労働者が加入する協会けんぽの保険料と国保税を比較すると年収400万円の4人家族では、国保税の方が年15万円も高くなっています。

そのため国保税滞納世帯は加入世帯の3割、12,000世帯にのぼっています。水戸市は滞納したら、年金、給料の差押えを実施しており、差押え件数はこの4年間で1,767件にのぼっています。さらに差押え専門の茨城租税債権管理機構に差押えを委託しております。家賃も払えない、電気代も払えないなど、深刻な訴えもお聞きしました。

生活困窮で受診がおくれて死亡した例が全国では昨年1年間で77人に上ったとする調査が,全日本民医連によって明らかにされました。

水戸市の国保会計はこの4年間、毎年4億円から7億円の黒字であり、累積赤字もありません。昨年度の黒字は7億8,000万円でありました。

さらに水戸市が来年度、県に納める国保事業納付金は今年度とくらべて7億4000万円も減額となります。すなわち国保会計は黒字なのに来年度県に納める納付金は少なくなりますから、昨年12月の水戸市国保運営協議会で来年度も黒字になると発表しました。1世帯1万円の値下げは4億円もあればできますから値下げの実施を求めます。

子育て支援のために国保税の均等割は0歳から18歳まで廃止し、値下げすることについてお伺いいたします。

子どもが多い家庭ほど国保税が高くなります。これは国保税の算定にあたり均等割があり、一人あたり30,000円を課税するものです。子どもが3人いる世帯では90,000円も国保税が高くなります。これは子育て支援、少子化対策に逆行するとして子どもの均等割を廃止、または減額を実施する自治体か全国で増えております。

取手市も昨年4月から子育て支援として18歳までの均等割を半額にし、子どもが2人いる世帯では国保税を31,000円減額しました。

岩手県宮古市では子どもの均等割は来年度から完全廃止するとしました。水戸市でも子どもの均等割を廃止してはいかがでしょうか。答弁を求めます。

来年度、国保税の限度額を96万円に値上げします。この4年間で11万円も値上げになります。今回の値上げで国保税は一期あたり12万円の支払いとなり負担は大変であり、限度額の引き上げはやめることをもとめます。

 

〔保健福祉部長の答弁〕

中庭議員の一般質問のうち,国保行政についての御質問にお答えいたします。

本市の平成29年度の国民健康保険会計は,国保税の収納率向上や保険給付費等の減少などにより,約7億8,000万円の繰越金が生じております。しかしながら,前年度からの繰越金や翌年度に返還しなければならない国庫支出金などを控除した実質的な単年度収支は,依然として赤字の状況であります。

さらに,平成30年度は,県から示された国保事業費納付金を踏まえ,必要となる国保税額を試算した結果,財源が不足する見込みとなりました。このため,繰越金を充当することなどにより,何とか財政収支のバランスを保つこととし,平成30年度の国保税率の増額改正を見送ったところであります。

2019年度の国保税につきましては,県から示された国保事業費納付金が約73億4,700万円で,平成30年度と比べて約7億4,400万円の減額となっております。しかしながら,被保険者の後期高齢者医療制度への移行等による,被保険者数の減少に伴い,国保税の収納額も減少し,2019年度も国保財政の状況は厳しいことが見込まれます。

また,2020年度からは,過年度分の国庫支出金等の精算金等が国保事業費納付金に算入されることとなり,納付金額の変動幅が大きくなる事が予測されることから,変動に応じた対応ができるよう,一定額の財源を確保する必要があります。さらに,水戸市国民健康保険運営協議会においては,高度医療や高額医薬品の普及・拡大,流行病などによる保険給付費の増額に備える必要があること,今後の県の国保財政の運営状況や本市の国保事業の推移を見極める必要がある などの意見が出されました。

これらを踏まえ,2019年度の国保税率については,長期的な国保の財政状況を見据えたうえで検討した結果,据え置くこととしたところです。

次に,子どもにかかる国保税の均等割を廃止または減額することにつきましては,少子化対策と国保財政の基盤強化の観点から,国が責任をもって取り組むべき施策であります。このため,全国市長会において,引き続き,国に支援制度の創設を要望しているところでありますので,国の動向を注視してまいります。

続きまして,課税限度額の引き上げにつきましては,2019年4月から,国において国保税のうち基礎課税分を3万円引き上げる法令等の改正が予定されております。これにより,国保税の課税限度額は,93万円から96万円となります。この改正は,中間所得層の国保税負担の軽減を図ることを目的に実施されるものです。

したがいまして,本市におきましては,課税の公平性の観点から,これら法令等の改正に準じて関係規定の整備を行い,適切に対応してまいりたいと考えております。