2017年6月議会の一般質問で中庭次男議員は ①国保税の一世帯1万円の値下げ ②国民健康保険の都道府県化による国保税の値上げの中止 ③生活実態を無視した差し押さえをやめることを主張しました。下記はその質問と答弁です。

 

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 〔国保税の値下げについて。中庭次男議員〕

第一点は国保税の一世帯、一万円の値下げについて質問します。

5回の値上げで年48,000も値上げ

水戸市は2004年からこれまで、5回もの値上げを実施しました。これにより一世帯4万8,000円も値上げになりました。

月25万円の所得がある夫婦と子ども2人がいる世帯の国保税は年間48万円になりました。もともと国保加入者は低所得者が多くをしめ、年金生活者などの無職者が4割、パート、アルバイトなどの非正規雇用労働者が3割となっています。国保税の値下げは切実な願いとなっています。

国保税の一世帯1万円の値下げは5億円あればできます。2015年度、5億6,300万円の黒字であり、これを活用すれば値下げは可能です。

18歳以下の子どもでも一人当たり均等割が3万円課税されます。子どもが多い世帯ほど国保税が高くなります。子育て世代の経済的負担軽減のためにも、子どもの均等割の免除をもとめます。そのための予算は2億円でできます。

(大曽根保健福祉部長答弁)

中庭議員の一般質問のうち,国保行政についてお答えします。

初めに,国保税の値下げについてでありますが,本市の国民健康保険会計は,平成22年度末には25億円を超える累積赤字を計上しておりました。このため,平成23年度から平成27年度の5年間で,約40億円の一般会計からの法定外繰入れのほか,収納率の向上や医療費の適正化などに取り組んだ結果,収支は改善しているものの,実質的には未だ赤字の状況が続いております。

このため,本来であれば税率を引き上げて赤字の解消に努めるべきところを,厳しい社会経済状況を勘案して,引き続き一般会計からの法定外繰入れを行い,国保税率を据え置いている状況です。

一般会計は,市民の皆様が納めた税金が財源であることから,受益者負担の原則からも, 必要以上に一般会計からの法定外繰入れを行い,国保税率を引き下げることは適切ではないと考えております。

また,18歳以下の子どもに係る国保税均等割を無料化することにつきましては,少子化対策と国保財政の基盤強化の観点から,国が責任をもって取り組むべきものであります。このため,全国市長会において,国に制度創設を要望しているところでありますので,国の動向を注視してまいります。

〔国保の都道府県化について。中庭次男議員の質問〕

次に国民健康保険の都道府県化、すなわち県単位化について質問します。

来年4月から実施されます。茨城県は国保税の標準税率を決め、市町村はこれに基づき国保税をきめます。県への納付金は100%納入が義務付けられます。

茨城県が示した国保の県単位化にともなう「国民健康保険運営方針骨子案」で安定的な財政運営の取り組みとして①収納対策の強化。②医療費の適正化。③赤字市町村の国保税率の引き上げが示されています。これを実行すれば、国保税の取り立て強化、医療費の抑制、国保税が値上げが行われます。

茨城県は国保の県単位化にあたり、水戸市に国保税の3つの方式算定方式を示しました。1つ目は市町村ごとの基本方式、2つ目は県内統一方式、3つ目は二次医療圏の統一方式を示しました。

年4万円から5万円の値上げ

これで試算すると年所得140万円の4人世帯の場合、基本方式では今年度の国保税、年21万3,200円が、来年度は4万1,800円の値上げになります。県内統一方式では4万9,800円の値上げになり、二次医療圏の統一方式では5万1,200円の値上げとなります。どの方式をとっても4万円から5万円の値上げとなります。

そこで質問は県単位化による国保税の値上げをおさえるため、水戸市はどのような対策を行うのか、県に対してどのような回答し、要望を行っているのか、答弁を求めます。

国保税の値上げをストップするためには、一般会計からの繰入は引き続き行うことが必要であります。厚生労働省も2015年4月の国会で「一般会計から繰入は市町村の判断でできる」と答弁しております。水戸市は引き続き一般会計からの繰入をおこなう考えはあるのか、お伺いいたします。

(大曽根保健福祉部長答弁)

次に,国民健康保険の都道府県化についてでございますが,

平成30年度からは,都道府県が国保財政の運営主体となり,市町村は,都道府県が定めた国保事業費納付金を納めるために,都道府県から示される標準保険料率を参考に,国保税率を決定することとなります。国保事業費納付金及び標準保険料率につきましては,本年1月に,県から「市町村ごと」,「県内統一」,「二次医療圏ごとに統一」の3つの算定方法による試算が示されたところです。これに対しまして,本市といたしましては,県に対して,本市の被保険者への負担が最も少ないと考えられる「市町村ごと」の算定方法とされたい旨の意見書を提出したところであります。

現在,県においては,市町村の意見を参考に,国保事業費納付金及び標準保険料率の見直しや算定システムの機能改善を行っているところであり,現時点で平成30年度の国保税率を見込むことは困難であります。

平成30年度以降の一般会計からの法定外繰入れの必要性につきましては,今後示されます確定の国保事業費納付金及び標準保険料率等を参考に国保税率を決定する際に,適切に判断してまいりたいと考えております。

〔国保税の取り立て強化やめよ。中庭次男議員〕

次に生活実態を無視した国保税の取り立ての中止を求めます。

水戸市は一昨年度、国保税を含む市税の滞納による差し押さえを1,100件おこなっていました。

先日、60歳代の女性から訴えがありました。夫が病気になり、収入も激減し、医療費の支払も大変なのに、国保税滞納により給料の差し押さえを行うとの催告書がきました。不安で病院にいくこともできないと訴えていました。3人世帯の場合、国税徴収法では月収が19万円以下の場合は、給料の差押えが禁止されています。生活困窮世帯が増える中、生活実態にみあった納税相談をおこなうことをもとめますが、答弁をもとめます。

(大曽根保健福祉部長答弁)

次に,国保税等の差し押さえについてお答えいたします。

納期限が経過した国保税等については,督促,納付催告,差押予告などを段階的に進めており,その中で納税相談についても促しております。しなしながら納税相談も納付もない場合には,財産調査を行い,給与や年金など,法律により差し押さえが認められている財産が判明したものについて,滞納処分を執行するなど,法令に基づき適切に対処しているところであります。

今後につきましても,納税者の生活状況等の的確な把握に努め,生活困窮者に対しては納税資力に応じた対応をとりながら,税の公平性及び財源の確保に向け,引き続き全力で取り組んでまいります。以上